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9月7日、独立記念日にパレードをするアルキミン聖州知事と聖州軍警(Alexandre Carvalho/A2img)
9月7日、独立記念日にパレードをするアルキミン聖州知事と聖州軍警(Alexandre Carvalho/A2img)

サンパウロ州政府=軍警の殺人減少策効果薄=過去10年最多の犠牲者=エリート部隊隊長すげ替え

 サンパウロ州では警官に殺された人の数が過去10年で最大を記録しているが、ジェラルド・アルキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は警官による容疑者や市民殺害を食い止める方策を骨抜きにしていると22日付フォーリャ紙が報じた。
 サンパウロ州警察のオンブズマンによると、今年は8月末までに、571人が市警や軍警に殺害されている。この数字は06年の451人以来の悪い記録で、12年から13年の死者が437人から344人に減って以降、2年連続で急増中だ。
 サンパウロ州は、00年に開設した死亡率減少特別委員会(CERL)の活動を11年に停止した。CERLは、警官3人とオンブズマン、暴力事件研究機関の代表らから成り、容疑者や市民が死んだ事件での警官の行動や衝突の状況の分析、死者が出るような衝突回避のための情報発信など、警察に殺される人の数を減らす取り組みを行っていた。オンブズマンらが訴え続けた事で、先週やっと、CERL復活の話が具体化し始めた。
 14年には一般市民も取り込んだ「軍警による死亡事件の研究会」も開設されたが、統括役だった軍警が退職した後は後任が決まらず、わずか1年で頓挫した。同研究会は、警察が容疑者や市民を殺した理由を調べていたが、多くの場合、正当な理由はなかった。
 同研究会の一員で、治安問題の専門家、クラウディオ・ベアト氏によれば、現在警察が採っている措置は不十分で、問題の本質を正しく分析した人さえいないという。
 02年に始まり、今も続いている軍警援助・監視プログラム(PAAMP)は、容疑者や市民が死亡する事件に関与した警官に心理カウンセリングなどを施しているが、以前なら約6カ月間は路上勤務から外れていたこれらの警官が、現在はせいぜい1週間で路上勤務に戻っているという。
 大サンパウロ市圏では8月13日以降、オザスコ・バルエリ・カラピクイバの3市で警官の関与も疑われる集団殺人事件が起き、23人が死亡。サンパウロ市西部ブタンタンでは警官が容疑者2人を殺害する事件も起きた後、サンパウロ州政府が21日、軍警エリート部隊のトビアス・デ・アギアール巡回機動隊(ROTA)の指揮官を更迭した。州保安局はこの更迭劇は軍警関与の疑われる殺人事件とは無関係だとしているが、今年2月にROTA隊長に就任したばかりのアレッシャンドレ・ガスパル・ガスパリン中佐は、アルベルト・サルジッリ大佐にその職を譲る事となった。