閣僚改造に着手しているジウマ大統領(労働者党・PT)は、自身に対する罷免回避と、財政危機脱出のために必要な法案の承認や拒否権を行使した法案で拒否権を維持のため、連立与党でありながら関係が冷え込んでいる民主運動党(PMDB)から5人の大臣を選出する意向を固めた。24日付伯字紙が報じている。
PMDB所属の閣僚は現在、6人いるが、財政立て直しなどのため、省庁が10削減されることや、同党が連立解消か否かのところまで関係が冷え切っていることで、動向が注目されている。
実際、ミシェル・テメル副大統領やエドゥアルド・クーニャ下院議長、レナン・カリェイロス上院議長の3人は今週、ジウマ大統領に自分たちはPMDBの閣僚候補の推薦はしないと伝えた。
現状で67人の下院議員を抱えるPMDBを味方につけなければ罷免にも財政調整にも響くとあり、背に腹を代えられない大統領は23日、同党下院リーダー、レオナルド・ピッチアーニ氏と会い、PMDBの人事を話し合った。結果、二つの役職に対して7人の下議のリストが作られた。
そのひとつは、省庁予算が大きく、これまではPT党員がつとめていた保健相で、ルーラ政権で同相をつとめたサライヴァ・フェリペ氏ら、3名の名前があがった。
また、現在はPMDBが長官をつとめる民間航空局と港湾局を合併させたインフラ相には、ジョゼ・ピアンテ氏ら4人の名があげられた。
現職大臣ではカチア・アブレウ農相とエドゥアルド・ブラガ鉱山動力相の残留が確実視されている。連邦政府側はエリゼウ・パジーリャ民間航空局長官、エンリケ・アウヴェス観光相も残す意向で、民間航空局と港湾局の統合が見送られる可能性もある。テメル副大統領はエルデル・バルバーリョ水産相の残留も望んでおり、水産省が農業省と統合された場合は港湾局との声も出ている。
ジウマ大統領は同日、民主労働党(PDT)のカルロス・ルピ党首とも会談し、アンドレ・フィゲイレード下議がスポーツ相か通信相に就くことで話が進んだ。
ルーラ前大統領はこれらの交渉に先立ってジウマ氏に会い、閣僚改造への助言を与えた。現状では人種平等政策局、女性政策局、人権局を統括した「市民権局」開設なども検討されている。ルーラ氏は「正式発表前に各政党と十分な合意を得るよう」勧め、国連の会議などを終えて帰国してから発表するよう促した。 大統領は24日に米国に発つため、23日までとされていた閣僚人事の発表が来週に持ち越されたことで、一部では、大統領の危機回避能力への不信感が高まり、市場に悪影響が出ることも不安視されている。