水危機が叫ばれて久しいサンパウロ州で、給水制限回避策の一つとして来週から実施予定のビリングス湖(リオ・グランデ水系、RG)の水をアウト・チエテ水系(AT)に送る案が中止となる可能性ありと25日付エスタード紙が報じた。
RGは25日現在の貯水率が85・6%で、大サンパウロ市圏近辺の6水系中、最も潤沢な水系だ。アウキミンサンパウロ州知事やサンパウロ州水道公社は昨年、同水系とATを繋ぐ計画を立て、工事を始めた。
両水系を繋ぐ工事は既に終わり、来週からは実際にグアラピランガから水を送る作業を始める事になっていたが、それに「待った」がかかる可能性が出てきた。
それは、グアラピランガで行った水質検査で、水を採取した9カ所中7カ所で、藍色細菌(シアノバクテリア)と呼ばれる藍藻(らんそう)が基準値以上に繁殖している事が判明したためだ。
環境浄化技術公社によると、RGに属し、ATのタイアスペバ―ミリン川への取水源となる部分では、国の基準を37%上回る、1ミリリットル当たり6万8495個の藍藻が検出された。
藍藻は水中の窒素や燐の量が増えると繁殖し、気温が高いとさらに増える。窒素や燐の増加は下水の垂れ流しなどが起きている証拠で、同じグアラピランガでも、リオ・ペケーノ水系に属し、ピニェイロス川の汚水が流れ込む水域では、国の基準の8倍にあたる40万2630個の藍藻が見つかっている。
サンパウロ総合大学ペドロ・コルテス教授も、今後数カ月は気温が上がるので、藍藻が増え、浄水場の負担が増える上に味や匂いが残る可能性が強くなるという。
カンタレイラ水系から給水していた地域へも給水し、25日現在の貯水率が15%まで低下したATへは毎秒4千リットルの水を送る予定だが、藍藻の繁殖がさらに進めば、取水制限や送水の一時停止も起こり得る。