ジウマ大統領は28日、米国ニューヨークで開かれた第70回国連総会で世界180カ国の代表者を前に開会演説を行った。その中で同大統領は、ブラジルの経済危機に関して語り、国外投資家に向けてブラジルへの投資の継続を呼びかけたと29日付伯字紙が報じた。
ジウマ大統領は演説の中で、世界中を経済危機が襲った08年以降にブラジルが取った成長戦略は〃頭打ちとなった〃ことを認めた。
「08年からのブラジルの努力の結果としての経済発展は国内、国外の両方の要因により、頭打ちとなった」とした。
同大統領は政権第1期での失政が現在のブラジル不況につながったことも認めたが、それは国内経済や雇用、投資を守るためだったと弁明した。さらに、国際的な天然資源価格下落や、景気低迷からの回復が世界規模で遅れている事などの外部要因が現在の困窮状態を招いたと語った。
しかし同大統領は、為替の動向や様々な負の要因が高インフレや税収減を招いているが、「ブラジルは新たな成長軌道に乗るための転換期にいる」と強調した。
同大統領はまた、ブラジル最大の国営企業、ペトロブラス社(PB)関連の汚職疑惑に関しても、政府の立場を弁明した。
「ブラジル政府も、ブラジル社会も、これまで汚職を容認してこなかったし、今後も容認する事はない」と語り、汚職の調査は政府から独立し、完全なる公明正大さ、中立性をもつ司法機関によって行われているとした。「ブラジル民は軍事独裁政権時代に司法の独立を求めて苦闘した歴史を持っており、その功績によって今のブラジルは司法の独立性が保たれている」と語った。
同大統領は「表現の自由」についても触れた。立場の異なる人々が自由にその信条を表現する権利はブラジル民主主義の根本だとし、過去数年にわたりブラジルが享受してきた繁栄は民主主義が確固たる物として深く根付いていたからこそと述べ、今後とも民主主義の価値観を守っていくとした。