三世の女性歌手、島田デボラ・エンジュさん(27)が日本でCDデビューを果たした。当地では「島田デボラ」で知られていた。小島綾香さんとの二人組ユニット「歌謡女子 じゅくぜん果実」として、今年は石原裕次郎さんの生誕80周年にあたり、石原プロ公認で命日の7月17日にシングル『きょうよりあしたが』を発売。作曲家の中村泰士さんが裕次郎に提供した楽曲を編曲し二人が歌う。彼女は、本紙に「私の夢はまだ始まったばかり」と意気込みを寄せた。
1988年3月6日、サンパウロ市生まれ。祖母の影響で7歳から演歌を歌い、ダンスや和太鼓、三味線も習い始める。12年のサンパウロ市でのドリームコンサートでは日本の歌手・西城秀樹とも共演し、翌13年日本祭りのミス日系コンテストでミス・サンパウロに輝いた。
それが日本側でも注目されて14年の日本デビューが内定。離伯を前に13年12月には商工会議所の忘年会でステージに立ち、14年2月にはサンパウロ市内の私立校で記念コンサートを行なった。今年から「デボラ延寿」という芸名で本格的な歌手活動を始めた。
プロデュースするのはちあきなおみの「喝采」や細川たかしの「北酒場」を手がけた作曲家の中村泰士氏。裕次郎のために同氏が73年に作曲した「きょうよりあしたが」のリメイク企画に抜擢された。中村氏は同ユニットの公式サイトで、「男性ボーカルだと届かないきめ細かな想いが表現出来る」と評価し、「近くオリジナル作品をリリースする予定」と報告している。
デビューCDには「きょうよりあしたが」他、「旧友」(作詞・阿久悠/作曲・中村泰士)、「男のブルース」(作詞・なかにし礼/作曲・中村泰士)など5曲を収録。同い年の相方、小島綾香さんはモデルや実業家として活躍中だ。
メール取材に応じたデボラさんは、「特別な人たちとの出会いがあってデビューできた。彼らには音楽の世界で活動できる機会や活力をもらっている」。また日系社会には「デビューまでいろんなことがあったが、誠実な友人らの助力には感謝の言葉しかない。一層努力を続け恩返しがしたい」と抱負を語った。
詳細は公式サイト(jukuzenkajitsu.jp/)まで。
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2013年末の商工会議所忘年会で日本デビューに向けた訪日を発表したデボラさん。その後インターネットで動向を注視していたが、一向に「島田デボラ」のデビュー情報は現れず。まさかデボラ延寿という名でデビューしていたとは。ユニット名「歌謡女子 じゅくぜん果実」は「熟す前」の女子という意味らしく、サイト記事には《成熟した素敵な女性になったら「成熟果実」に変えたい》とのコメントも。デボラの新しい名前『延寿』の名前通り、息の長い活躍を期待したいところだ。