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世界的な権威のキング博士(divulgação)
世界的な権威のキング博士(divulgação)

世紀末には3・5度上昇=気候変動の専門家が予測

 9月29日、サンパウロ市中央のフォーリャ紙本社で、ケンブリッジ大学などで教鞭をとるデヴィッド・キング博士による気候変動に関する講演会が行われた。京都議定書後、各国は新たな温室効果ガス排出削減目標が確定できておらず、年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で削減合意に達するか否かは、地球の将来像を大きく左右する。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業革命前と比べて2度未満の気温上昇に止めるには50年までに40~70%の温室効果ガスの排出削減をと訴えているが、キング博士は今世紀末の気温の世界平均は3・5~4度上昇するとの見通しを示した。
 地球温暖化の影響は、5万人が死んだ03年夏の欧州の異常な暑さや、中国の米などに見る農作物の収量減少、世界的な海水水位上昇などでも明らかだ。海水水位の上昇はデルタ地帯などの浸水やそれに伴う土地の塩分上昇なども招く。
 諸々の影響回避や軽減には温室効果ガス削減が必至だが、森林伐採の増加やエネルギー需要の増加、車の走行量の増加などは皆、温暖化を招く要因に他ならない。
 キング博士は、ブラジルが国連サミットで示した温室効果ガス削減目標(30年には05年の43%減)を高く評価したが、本当はまだ足りないという。輸送システムを鉄道に切り替え、公共交通機関を電気化、面積当たりの頭数が少ない牧畜業の効率化、太陽光や風力などの再生エネルギー利用と余剰分を備蓄する逐電能力向上、はては、人口増抑制なども視野に入れた教育向上なども含む改善策の採用を訴えた。
 9月30日付フォーリャ紙は、サンパウロ州サントス市では海が荒れる日が増え、程度も激しくなっており、50年までの海面水位は最低18センチ、世紀末には28~89センチ上昇する可能性ありとの現地専門家の研究結果も報じている。
 2日付エスタード紙では、1日までに温室効果ガスの排出削減目標を提出した国は排出量の85%を占める120カ国で、2・7~3・5度の気温上昇は不可避と報じた。気温上昇が3度を超えると全生物の15%が消滅し、3・5度を超えればブラジルの穀物生産にも甚大な影響が出る。