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新閣僚発表時のジウマ大統領(左)テメル副大統領(右)(Lula Marques/Agencia PT)
新閣僚発表時のジウマ大統領(左)テメル副大統領(右)(Lula Marques/Agencia PT)

省庁削減=罷免決議の廃案に必死=PMDB予算がPT凌駕=ルーラ前大統領依存強まる

 省庁削減に伴う新閣僚人事により、ひと息ついたジウマ大統領(労働者党・PT)だったが、側近筋は新人事によって民主運動党(PMDB)が大幅に勢力を増したことを懸念していると4日付エスタード紙が報じた。
 PTは、03年にルーラ前大統領を擁して政権の座について以来、今ほど、弱体化させられた事はない。
 03年の第一次ルーラ政権発足時、PTは全閣僚ポスト35の内(54%にあたる)19を握っていたが、今は31閣僚中、(29%にあたる)9を持つのみだ。
 PMDBはルーラ政権発足時には、通信相と社会福祉相の2閣僚を出しているのみだったが、その後、徐々に勢力を拡大。今回は、罷免請求を恐れ、また経済危機の中、財政調整を議会で承認させたいジウマ大統領の窮状に付け込み、今では予算規模の大きい7ポスト(保健省、鉱山動力省、農務省、科学技術省、観光省、民間航空局、港湾局)を確保し、16年の総予算ではほぼ1000億レアル(PT党員が大臣を務める省庁の予算総額は755億レアル)を掌握するまでになった。
 PMDB上院リーダーのエウニシオ・オリベイラ上議が9月30日夜、開催した晩餐においては、PMDB党首のミシェル・テメル副大統領が、まるで「未来の大統領」であるかのように扱われていた。
 PMDBに譲歩し、他の連立与党に対しても配慮をした事で、ジウマ大統領は、理論上は下院で罷免請求を否決する事が可能だ。否決のためには、下院の総勢513人中、3分の1以上にあたる172票が必要なのに対し、ジウマ大統領はすでに200票を固めたと見られている。
 今回の閣僚人事によってジウマ大統領のルーラ前大統領への依存度も高まった。ルーラ前大統領は新閣僚発表直前にPT内部と連立与党内の意見調整役を務め、さらにはジウマ降ろしの急先鋒のエドゥアルド・クーニャ下議長に安易になびかないよう、PT各議員を説得して回ったりした。新官房長官のジャックス・ヴァギネル氏は、ルーラ前大統領の右腕的存在としても知られている。