連邦総弁護庁(AGU)は5日、連邦会計検査院(TCU)が7日に行う予定の、公的銀行からの借入や返金の遅れなど、12の違反を指摘されている連邦政府の14年度会計の審理に関し、報告官役のアウグスト・ナルデス判事が「自らの判断を事前に表現して審理全体に強い影響を及ぼしている」としてTCUに違法性を訴え、同審理の報告官役から外すよう訴え、審理の先延ばしを図ろうとしている。5日付伯字紙が報じている。
AGUのルイス・イナシオ・アダムス長官は4日、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相とネルソン・バルボーザ企画相と共に記者会見を行い、報告官としてのナルデス判事の公明正大性に疑問を呈した。
ナルデス報告官はTCU内でも一貫して、14年度の連邦政府会計は違憲との考えを示してきた人物だが、アダムス長官は7月頃から同判事の言動を「一判事が自分の意思を公に話し、他の判事の考えに影響を及ぼすことは判事組織法(Loman法)に反する」と主張していた。
アダムス長官は今回、ナルデス判事が今月1日にエスタード紙のラジオ局「エスタドン」に対し、「TCUは時の大統領の会計に対し、80年間ものあいだ容認し続ける習慣があり、誰もそれを変えようとしてこなかった。私がそれを変えるのだ」「ギリシャには欧州がついているが、ブラジルを救えるのはブラジルだけなのだ」などと発言したことを行き過ぎた行為の証拠としている。
また、ナルデス判事は、税務監理審議会(CARF)が企業の納税義務不履行などに関する裁判の取り計らいで賄賂を徴収していたとする連邦警察の捜査「ゼロテス作戦」で不正関与が疑われてもいる状態だ。
この件に関する判断はTCUにゆだねられているが、報告官交代となれば、6月以降、「ジウマ大統領からの弁解の猶予期間」などを理由に延期を重ねてきた14年度の会計違反疑惑に関する審理はさらに遅れる。
TCUでの審理が遅れれば、会計上の違憲性が指摘されて否定されても、議会でその内容を審議するのはさらに遅れるため、連立与党のリーダーたちは、この問題を理由としてジウマ大統領の罷免請求が起きるのは来年以降になると見ている。
大統領罷免審議に関しては、連邦政府が動向を最も恐れていたエドゥアルド・クーニャ院長(民主運動党・PMDB)がラヴァ・ジャット作戦で秘密口座の存在が明らかにされ、今後の議長職継続を疑問視されている現状と、省庁削減に伴う閣僚人事で政府側が罷免請求否認に必要な下院議員を200人以上確保したとされていることから、今後の動きが下火になる可能性も否めない。
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