6月10日から会館の改修工事を行っていたブラジル秋田県人会(川合昭会長)は9月21日、無事に全てを終えた。築27年の同会館は、建物への落書きや内壁の劣化が問題となっていたため、特別に母県から2200万円の支援を受けて総工費60万レアルをかけた全面改修工事を行い、会館は新築同様の姿に蘇った。
「二、三世から県人会への尊敬が増した」。会館改修で生じた、思わぬ副次効果に秋田県人会川合昭会長はそう喜ぶ。日伯ともに厳しいこのご時勢の中、結果的に2200万円もの援助を母県から引き出した。
改修計画が立ち上がった2年前、母県へは外内壁修繕のための400万円の支援を要請しただけだった。しかし川合会長訪日の際、佐竹敬久県知事に理を尽くして援助要請を行ったところ、日を置いて、県から1700万円、市町村から500万円、あわせて2200万円の援助の申し出があった。
「協力は得られると思っていたが、まさかこれほどとは」と川合会長は当時の驚きを語る。長年の交流事業で培った絆が、具体的な援助となって現れた形だ。
改修中に下水管から漏れ出した水が内壁を浸食していることが発覚。倒壊の危険性もあることから、当初の計画よりも工事規模を拡大した。その後も、収納スペースの増大や荷物搬入路の増設、応接間の仕切り壁を取り払いなど、会員からの改善要望も取り込んで工事規模を拡大した結果、全面改修となった。
総工費は60万レアルに及び、約15万レを県人会が負担した。今回の工事を担当したホス建設の前身であるブラジル清水建設が、27年前に同会館の建設を行った。そうした経緯から、同建設会社は費用面で少なからぬ協力をしてくれ、川合会長の口からはしきりに感謝の言葉がもれた。
新装相成った会館を前に、「これでもう30年は心配ない」と改修の出来に胸を張る川合会長。同県人会は今年で創立55周年を迎え、10月25日には、佐竹知事らを招いて記念式典を行う。前日には落成式も予定しており、「多くの人に立派になった会館を見てもらいたい」と語った。