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6日のTSEでのトフォリ長官(右)と握手をするメンデス判事(Lula Marques/Agência PT)
6日のTSEでのトフォリ長官(右)と握手をするメンデス判事(Lula Marques/Agência PT)

TSE=ジウマの選挙疑惑の審理決定=TCUの会計審査前夜に=敗訴なら任期剥奪も=気になる後任報告官人事

 選挙高等裁判所(TSE)は6日、2014年のジウマ大統領(労働者党・PT)とミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)の選挙キャンペーンでの不正疑惑に関して「TSEで審理するか否か」の判断に対し、判事投票5対2で審理することを決めた。連邦政府の14年度の粉飾会計疑惑について連邦会計検査院(TCU)が7日に審理を行う前夜、ジウマ大統領にさらに追い討ちをかける事態となった。7日付伯字紙が報じている。

 民主社会党(PSDB)の大統領候補だったアエシオ・ネーヴェス氏からの訴訟に関して、TSEが行っていた判事投票は、8月25日に「もう少し判断に時間を」と要求したルシアナ・ロッシオ判事の提案で中断された。その時点で既に、7人のTSE判事のうち5人が投票を終え、4対1で「審理を進める」が有利だった。
 この投票は6日に再開され、最終的に、審理継続に反対したのはロッシ判事とマリア・テレーザ報告官だけで、票を投じていなかったディアス・トフォリTSE長官は「賛成」に投じ、既に賛成票を投じた判事の見解変更もなかったため、5対2で、TSEでの審理継続が決まった。
 さらに、ジウマ大統領には不利なことに、マリア・テレーザ判事はこの件に関する報告官役を辞退する意思を公表している。同判事はアエシオ氏からの訴状は「(ジウマ氏側のキャンペーンを違法とする)根拠が弱い」とし、TSEでの審理却下を主張していたためで、「同件に関する捜査には関与できない」との立場を明らかにした。
 最高裁ではこのような場合、最初に過半数を占めた票を投じた判事が報告官役を受け持つことになっている。それに習えば、かねてからジウマ氏のキャンペーン違反を声高に主張していたジウマール・メンデス判事が報告官役を担当することになるが、トフォリ長官は「新たな報告官を選ぶのは私だ」とし、決定を先延ばしした。
 メンデス判事は「(ラヴァ・ジャットの捜査が進むまでは)私たちも夢想だにしなかったが、選挙献金の名を借りて賄賂が受け渡されているとしたら本当に由々しき問題だ。審理の結果いかんに関わらず、こうした事態が繰り返されぬよう、最善を尽くす」と語った。
 この結果を受け、ジウマ大統領は「反対派の権利もあるのだから」としてTSEでの審理決定を尊重する見解を示した。
 7日からのTCUでの審理で粉飾会計が違反との結果が出れば、議会でのジウマ大統領の罷免審議が進む可能性が高まるが、TSEで選挙法違反との判断が出れば、大統領、副大統領共に任期剥奪となる危険性がある。