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グランデ・オテロが生誕100周年=サンパウロで代表作上映会

 ブラジルが生んだ最初の黒人の名優、グランデ・オテロが、8日で生誕100周年を迎える。これを祝し、サンパウロの映画館では100周年を祝う上映会が行われている。
 グランデ・オテロことセバスチアン・ベルナルデスは、1915年10月18日にミナス・ジェライス州のウベルランディアで生まれる。幼くして見たサーカスに傾倒し、10代後半にサンパウロ州まで連れてこられると、カンピーナス市のコメディ劇団に入った。
 映画に出演しはじめたのは20歳だった1935年で、40年代には「シャンシャーダ」と呼ばれる喜劇映画ジャンルの人気スターとなり、白人コメディアンのオスカリートとのコンビで観客を魅了した。
 「グランデ」とは「大きい」の意味だが、身長150センチの体全身からあふれ出るエンターティナーの才気で、オテロは高い注目を受けた。
 50年代になると、オテロは当時ブラジルで起きた映画の前衛運動「シネマ・ノヴォ」の作品の常連となった。これにはシャンシャーダでの成功で、役者として軟派に見られることを見返したいとの彼なりの気持ちが込められていた。
 ここでオテロは、この運動の代表的監督であるネルソン・ペレイラ・ドス・サントスなどの作品で、自分の作品を売って生計を立てる貧しいサンバのミュージシャンなど、「シネマ・ノヴォ」に顕著な厳しい現実生活を生きる役柄を演じ、役者として進歩したイメージをアピールした。特に文豪、マリオ・デ・アンドラーデの名作小説の映画版「マクナイーマ」(69年)で演じた先住民の役は、この時代のブラジルで最も愛されるキャラクターのひとつにもなった。
 1970年代にはシネマ・ノヴォをさらに進化させた「シネマ・マルジナル」の映画にも出演しており、「ア・ファミリア・ド・バルーリョ」(70年)などが代表作となっている。
 70歳を超えた86年にも「ネン・トゥード・エ・ヴェルダーデ」などの代表作があるが、今回の上映会では、本作を上映後の19日18時頃、本作の監督ロジェール・スガンゼーラ氏の夫人、エレナ・イグネスさんがオテロの俳優としての魅力を語るトークショーも行われる。オテロは93年に76歳でなくなっている。
 今回のオテロ上映会は全23作品が対象で、サンパウロの繁華街、コンソラソン通りにある名画系の映画館「ベラス・アルテス」で21日まで行われる。(8日付エスタード紙などより)