8日のチリ戦に敗れ、歴史上初めてW杯予選の初戦で黒星を喫したセレソンは、翌9日に第2節の行われるセアラー州フォルタレーザに移動して、13日のベネズエラ戦に備えている。
現地紙の予想では、初戦で低調だった中盤の中央オスカル(チェルシー)に代わり、国内組のルーカス・リマ(サントスFC)が先発に入り、怪我のダヴィド・ルイス(PSG)に代わり、同じくPSGのマルキーニョスがCBを務めるとされている。
会場のフォルタレーザはブラジル北東部、セアラー州の州都だ。ドゥンガ新体制になって、セレソンは2試合しか、ブラジルで試合を行っていない。
他はアメリカ、シンガポール、ロンドン、中国など、対戦相手のホームですらない場所で行っている。それは現在調査中のブラジルサッカー連盟(CBF)の汚職が絡んでいるとされており、セレソンの興行権をチケット販売、対戦相手、放映権料、試合会場や、どの選手を招集するかに至るまで、プロモーション企業に売り渡しているせいだ。
一般にサンパウロやリオ州のサッカーファンは地元のクラブチームのほうにより強い愛着心を感じており、セレソンへの忠誠心は低い。また強豪クラブの試合を見慣れているせいか、少しのミスにもきついブーイングが飛ぶ。
ブラジル北東部はその点、セレソンへの愛情が深く、シニカルな見かたをする国民も少ないため、親身な応援が望まれる試合、ホームゲームを北東部で行う事が多い。現に今回の会場も、次のホームゲーム、11月のペルー戦も北東部バイーア州のサルバドールだ。
試合前日の記者会見でも、右SBで先発濃厚のダニエル・アウヴェス(バルセロナ)は「会場のファンは、少しくらい試合が上手くいかなくても応援をやめないでほしい。今のセレソンへの過度の批判やプレッシャーはまるで、現状の国家全体の抱える問題までも選手達に背負わせようとしているかのようだ」と語り、国民からのサポートを求めた。
史上初のW杯予選黒星発進の後、連敗スタートでもしようものならまさに大惨事。相手は過去19勝2分1敗のベネズエラだが、ブラジルは内なる敵〃プレッシャー〃とも戦う90分となる。(規)