サッカーブラジル全国選手権は1部セリエAの20チームだけではない。2部セリエBに20チーム、3部セリエCに20チーム、4部セリエDには40チームも参加している。
16日から19日、3部と4部では、来期に2部、3部に昇格できるかがかかる試合がブラジル全土で行われる。
ミニリーグから、プレーオフのトーナメント形式で行われる3部と4部の昇格枠はそれぞれ上位4チーム、つまり準々決勝が「勝てば天国、負ければ地獄」の運命の分かれ目だ。
3部セリエC、サンパウロ市に本拠を置くポルトゲーザは準々決勝第1戦を0―1で落とし、17日のホームゲームに逆転の望みをかける。
実はポルトゲーザは2年前まで1部セリエAにいた。13年シーズン、16位でセリエA残留をはたしたはずが、17位のチームが記録を調べ、出場停止の選手を使った試合があるからその試合の勝ち点は無効だと裁判に訴えたため、その訴えが通って勝ち点マイナスのペナルティで順位が逆転し、降格。気落ちしたのか14年シーズンも2部から3部へ連続降格、今年は3部からの再起となった。
本来1部にいたチームだけに、今年は地力を発揮して、3部の準々決勝にたどり着いた。満員の後押しで昇格を決めたいポルトゲーザは、チケットの一部を「ペットボトル飲料2本と交換」というキャンペーンに出た。このキャンペーンは好評で、当日は満員の入りが見込まれている。
4部のセリエDでは、サンパウロ州のチーム同士の対戦が実現した。内陸部、リベイロン・プレット市のボタフォゴ・サンパウロと、サンパウロ大都市圏サンカエターノ・ド・スール市のサンカエターノの激突だ。
4部リーグには40チームが参加しており、昇格枠はわずか4。さらに、昇格に失敗すると、他のリーグなら下位に沈むだけで、降格しない限り同じリーグに残留となるが、ブラジル全国4部に参加するには、来年前半の各州選手権で好成績を挙げるところからやり直しとなる。つまり9割の36チームにとっては、昇格以外は降格も同然で、当然準々決勝は命がけの試合となる。
初戦を1―2で落とし、逆転勝利にかけるサンカエターノも、「ペットボトル飲料2本とチケット交換」のキャンペーンにでた。
いつにもまして大きなファンの応援が必要な状況でこのキャンペーンを行う両チーム。昇格のかかる試合くらい、そんなキャンペーンなど無くても満員になりそうなものだが、「3部や4部ではまだまだ見に行く気にすらなれない」と思うブラジル人が多いようだ。
1部の優勝争いやセレソンだけがサッカーではなく、また欧州のきらびやかな舞台だけがサッカーでもない。選手達にとって、競技人生をかけた試合が始まる。(規)