12月6日に行われるベネズエラの国会議員選挙に関し、ブラジル選挙高等裁判所が20日、南米諸国連合(ウナスル)の選挙監視団への参加取り消しを決めたと21日付伯字紙が報じた。
ベ国の政情が不安定な事は、反体制派の政治家投獄やそれに対する抗議行動といった動きからも明らかで、12月の議員選挙も、国際的な圧力がなければなし崩しにされかねない状態だった。
高インフレや国際的なコモディティ価格下落による国力低下、それに伴う支持率低下に悩むニコラス・マドゥーロ大統領にとり、同氏への全権委譲を決めた国会の再編は何としても避けたいところだ。だが、野党政治家への弾圧や物価抑制への強権発動など、選挙戦勝利のためにはなりふり構わぬマドゥーロ大統領の態度には、国際社会も懸念を隠せない。同大統領は既に米州機構による選挙監視団派遣を拒否しており、その代わりにブラジルが提案したのがウナスルの監視団派遣だった。
ブラジル政府は選挙高裁とも協議し、元最高裁判事で法務相や国防相も歴任したネルソン・ジョビン氏を団長に推したが、ベ国側がジョビン氏拒否の態度を示した事を受け、ウナスル事務局長のエルネスト・サンペル氏が同氏の名前は受け付けられないと通達してきた。
これを受け、ブラジル選挙高裁のジアス・トフォリ長官とジョビン氏は、ウナスル監視団にも協力しない事を決めた。
野党の政治家との接触や国内の移動の自由を求める監視団に対し、ベ国政府は様々な制限も設ける意向で、選挙まで2カ月もない中での監視活動は実質的に無理との見方も出始めている。
サンペル氏はベ国からも受けがよいアルゼンチンのホルヘ・タイアナ元外相を監視団団長にと考えているが、同局長やベ国政府の選挙の結果重視の姿勢は、選挙までの課程重視のブラジル選挙高裁が参加取り消しを決めた理由の一つになっている。