コリンチャンス戦を観戦に行くと、隣でチームの応援グッズに身を包んだ少年が精一杯の声援を送っていた。父親も「息子は生まれながらのファン」と胸を張る。競技場を後にすると、彼と年の変わらぬ少年達が「ビール3レアルだよ」と声を張り上げていた。
ブラジルの厳しい格差社会を実感させられる光景だった。
応援の少年は白人で、飲み物売りの少年の多くは黒人だった。子供がサッカー選手に憧れる気持ちに、親の収入、肌の色の別も無いはず。選手だって多くは黒人だ。
サッカーチームは社会の公器でもある。コリンチャンスは、乳がん撲滅のピンクリボン運動に参加したり、チーム挙げて献血に取り組んでいるが、もう一押し、低所得者層の子供を試合に招待してはどうか。優勝に邁進する中、競技場の外で、「無許可営業だ」と警棒に追われる飲み物売りの少年を見てみぬふりはするのは忍びない。(規)