秋篠宮同妃両殿下は28日午後2時、サンパウロ市内のサンタクルス病院をご訪問、記念碑の除幕式に出席された。コーラス隊の少年少女30人による歌の出迎えを受け、昭和天皇からの御下賜金を受けたのものの、敵性資産として接収された歴史にも深い関心を示された。
ブラジル初の日系医療機関であるサンタクルス病院最初の建設費は、1934年に昭和天皇名で5万円の御下賜金を受けたことが呼び水となり、日本政府や政府高官からの寄付が相次いだ。
しかし、戦争により42年に国交断絶。病院は敵性資産として接収され経営権は日系人の手を離れた。89年に日系人から返還運動が起き、多数の署名が集まる。翌年には日系人も経営に参画する協定が結ばれ、現在に至っている。
午後2時に到着された両殿下を約200人の病院関係者らが出迎えた。石川レナト同院理事長らの案内で、両殿下御訪問記念碑の除幕式に参加され、病院の前庭にある笠戸丸30周年記念碑の説明を受けられた。
入り口ホールでは、非日系の少年少女約30人が「花は咲く」を歌い、歓迎した。日系医師とのご懇談、二宮正人USP法学部教授(弁護士)が病院の歴史を説明した。
病院のボランティアで構成された20人のコーラス隊が「モルダウ」を歌ってお見送りした。一度出口まで行かれた殿下だが、コーラス隊の前までお戻りになり、笑顔と拍手で感謝の意を示されていた。
入り口で歓迎した山口猪津子さん(92、石川)は「はるばる日本より来られた殿下にお会いできるのは、何よりうれしい」と満面の笑顔で答えた。
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