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タイースが人種差別の被害=フェイスブックの写真の髪型に関し

 ブラジルで最も人気の黒人女優、タイース・アラウージョが自身のフェイスブックの写真投稿欄に人種差別的コメントを書き込まれ、話題となっている。
 タイースと言えば、夫で俳優のラーザロ・ラモスと共に、「ブラジルで最も成功した黒人役者夫婦」として非常に有名な存在だ。
 だが、10月31日に問題が起きた。この日、彼女は、ファッション系の広告用や自身のPR用と思しき写真を、自身のフェイスブックにあげた。通常ならファンから「美人だね」などのコメントが目立つような状況で、大半のコメントはそのようなものだった。
 しかし、その中に、強いウェーブのかかった髪をふくらませたヘアスタイルに対し、「モップのようだ」や「奴隷小屋から出て来たのかい?」などと書き込んだコメントが見られた。それをめぐり、タイースのファンも激怒して反論し、この写真の投稿欄は炎上した。
 これに気づいたタイースは翌1日、「2015年にもなってこんなことをわざわざ言わなくちゃならないなんて情けないけど、黙っていられない。昨夜、ひどい人種差別の書き込みがあったんだけど、消さずに残して、そのままにしておこうと思うの。警察も調べることになるし」と書いた。
 この件はすぐに広まり、ブラジルの有力紙などでも大きく取り扱われる事件となった。それは彼女が現在、夫のラーザロとテレビドラマで「最も成功した黒人夫婦」の役を演じ、演劇でもアメリカの奴隷解放の指導者、マーティン・ルーサー・キング牧師の最期の日を演じた「トップ・オブ・ザ・マウンテン」の上映中と、話題の人物になっていたためでもある。この夫婦共演に関しては、当サイトでも既に掲載済みだ。
 タイースは、ブラジルで一般に「カシェアード」「クレスポ」と呼ばれるこの髪形がいわば代名詞となっている有名人でもあり、13年1月に一度ウェーブ部分が消えるくらいのショートヘアにバッサリと切ったこともあったが、おなじみの髪型を惜しむ声が多く、すぐに戻したといういきさつもあった。
 今回の件は、特に黒人の芸能人や女性からの反応が強かったが、白人ながら同様の髪質を持つことで知られている昨年の大統領選挙の候補者ルシアナ・ジェンロ氏も、自身のフェイスブックで反応し、「私も髪型は随分、キャンペーン中に言われていたけど、タイースの件に比べれば小さい」と語り、タイースのネット上での反応の勇気ある態度を称えていた。
 ブラジル弁護士協会(OAB)は今回の件を受け、ネット上で人種差別的発言を行った人物の調査を強化し、厳しく処罰する方向性を打ち出している。(1日付R7サイト、2日付アジェンシア・ブラジルより)