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夫婦合意の上で服毒自殺=幼い息子の死に絶望して

 サンパウロ州内陸部のイビラー市で、幼い息子がさそりにかまれて死亡したことを嘆き、両親が服毒自殺を図るという事件が起きた。父親のルーカス・サンシェス・ダ・シルバさん(40)は死に、母親のナターリア・バリエイロさん(29)も重体だ。
 息子のジョゼ・ルーカス・ダ・シルバ君(4)は2日、家の庭で遊んでいて、毒さそりに刺された。ルーカスさんはすぐにイビラー市内の私立病院に運んだが、重症のため、近隣のサン・ジョゼ・ド・リオ・プレット市の病院に移された。
 翌3日の午前5時半にジョゼ君は亡くなった。ルーカスさんは同君が亡くなる数時間前、ナターリアさんの父ジョゼ・マヌエル・フェルナンデス・バリエイロさん(63)に、「息子が死んだら夫婦共々後を追う」と語っていたという。
 その言葉通り、3日の内に、夫婦は人口1万1千人ほどの小さな町、イビラー市の農場で服毒自殺をした。4日には父と息子の葬儀が行われ、100人ほどが参列した。
 「孫は本当に可愛がられて育った。父も母も24時間、孫につきっきりだった」とバリエイロさんは語った。
 悲嘆にくれるバリエイロさんは、夫婦は幼い息子の死を知ると農場に戻り、従業員に手紙と思い出の品をバリエイロさんに渡すように頼んだと明かした。
 二人はその後、旅に行くと言い残して家を出たが、5キロ程行った先で毒を飲んだ。ルーカスさんは病院に運ばれたが、助からなかった。ナターリアさんはリオ・プレット市の病院の集中治療室に入っている。
 地元警察は2人が飲んだ毒の種類を調べている。調査に当たった警察は、二人は全て合意の上で自殺を図ったとしている。「こんなことは今までに一度も無い。凄惨な犯罪現場に立ち会ったことならあるが、これは犯罪とすら呼べるかどうか。まさに悲劇だ」とイビラー市のルシアーノ・ビロッリ警部は語る。
 警察は親類に尋ねて、ルーカスさん達が心理的な問題を抱えているようなそぶりはなかったか、調査する事にしている。(5日付フォーリャ紙などより)