【既報関連】ミナス州マリアナ市で5日に起きたサマルコ社の鉱山廃水ダムの堤防決壊事故による環境破壊の修復や種々の賠償必要額は100~140億レアルに上る見込みだが、同社と同州検察局、連邦検察庁は16日、当面の緊急支出用に10億レの基金を作る事で合意したと17日付伯字紙が報じた。
サマルコはブラジルのValeと豪州のBHPが共同出資しており、リオ市内にあるValeの本社前では16日、社会運動家約300人が体に泥を塗って地面に寝転ぶ、扉に泥水をかけるといった抗議行動も起きた。
マリアナ市の鉱山は三つ目のダムの亀裂確認などで、操業再開のめどがたたない。16日までに身元判明の死者は7人、確認待ちの遺体は4体、行方不明者は12人だ。
堤防決壊で壊滅状態の地区も出たマリアナ市では、同社からの税収などがなければ財政が成り立たないとしているが、ミナス州やエスピリトサント州(ES)では、ドッセ川周辺中心に、農業や漁業も含む経済活動停止で生計不安に陥る人々が多数いる。ES環境局は17日、同州が15日にサマルコと結んだ、緊急対応策作成、飲用水供給などを含む社会環境合意に、ドッセ川の水質汚濁で生計を脅かされている人への最低限の生活費支援を追加と発表した。
ミナス州が合意に達した10億レは緊急活動費や新たな災害回避用の基金となり、半額は10日以内に支払われる。
環境被害の修復や地域住民への賠償などの費用は100~140億レとの試算は鉱山法の審議で報告官を務めるレオナルド・キントン下議によるが、実際の額が確定するには数年はかかる。
鉱山から流出した泥流は先週の内にESでも川の水位上昇を招き、河岸にいた人や動物が退避した。鉱石の滓なども含む汚泥はミナス州側にある発電所の操業停止なども招いた後、16日にESに到着。ESでも浄水場への取水停止が始まったため、コラチナ市では市民への水の供給支援に軍もかけつけた。
ミナス州ゴヴェルナドール・ヴァラダレス市では1週間断水が続いたが、アカシアの幹から抽出した化学物資を加える事で泥を沈下させる事に成功し、16日から給水を再開。周辺部でも近日中に水が戻る予定だ。
ドッセ川の水質汚濁で深刻な影響を受けている先住民が、13日に川沿いにあるValeの鉄道を占拠して始めた抗議行動は今も続いている。
タグ:写真ニュース