20日の「黒人の意識高揚の日」を前に、18日午前中、ブラジリアで人種差別と暴力に反対する黒人女性によるデモ行進が行われた。参加者達はジウマ大統領や女性政策局長官らと懇談の時も持ったが、連邦議会前の広場では、別の抗議行動参加者との混乱も起き、発砲した市警2人が逮捕されたと19日付伯字紙や18、19日付各紙サイトが報じた。
バイア州の伝統的な衣装をまとったりした行進参加者は8時半にニルソン・ネルソン体育館前に集まり、エイショ・モヌメンタル6車線を占拠しながら、連邦議会まで行進した。
行進参加者が撲滅を訴えた人種差別や暴力は、精神的・肉体的な暴行や給与格差、昇進の遅れなどの形でも表れる。
肉体的な暴力の一つは殺人で、13年の女性の殺人被害者の60%は黒人女性が占め、犠牲者数が03年より54%増えた(同期間中の白人女性の犠牲者は9・8%減)事が、9日付伯字紙などで報じられた。
また、17日発表の統計によれば、大都市圏の労働市場に占める黒人の割合は、13年の12・1%が14年は13・3%に拡大。経済活動人口に占める黒人の比率拡大で、黒人就労者は7・1%増え、失業率も8・7%が8・5%に減じたが、これは黒人女性の就労増を反映したものだ。
ただ、黒人女性の平均月収は1514レで、13年の1473レより増えたが、非黒人男性の給与と比べると56・1%に過ぎず、性差や人種差が依然大きい。この間の非黒人就労者は3・4%減ったが、失業率も6%が5・5%に減じた。
この行進に同伴したマリア・ド・ロザリオ下議は、「貧困や暴力に最もさらされている黒人女性が立ち上がった事は、社会政策変更への新しい力となる」と評価した。
行進参加者は大統領や関係閣僚との会談の時も持ったが、会談前には議会前広場で、エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党)退陣や軍政復帰を求めるグループから差別発言を受けたとして、同グループが用意した横断幕や人形を破ったりしたため、両者間で混乱も生じた。この混乱を制するため、軍警はマスタードガスやゴム弾を使用。労働者党の下議がガスを浴びて手当を受けた他、実弾で威嚇射撃を行った軍政復帰支持者の市警ら2人が逮捕される事件も生じた。