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大統領選勝利を喜ぶマクリ氏(Site Oficial Mauriciomacri.com.ar)

アルゼンチン大統領選=マクリ氏が逆転勝利=キルチネル政権12年で幕=今後のブラジルとの関係は?

 22日に行われたアルゼンチンの大統領選決選投票で、保守派の対抗馬のマウリシオ・マクリ氏が逆転当選を果たし、同国で12年間続いてきたキルチネル夫婦の政権を終わらせた。23日付伯字紙が報じている。
 一次投票前は、クリスチーナ・キルチネル大統領の後継者であるダニエル・シオリ氏が優勢と見られ、焦点はむしろ「シオリ氏が一次投票で勝つか」だった。
 だが、蓋をあけてみれば、対抗馬だったマクリ氏とは37%対34%の小差で、さらに21%の票を獲得したクリスチーナ政権の元官房長官、セルヒオ・マッサ氏がシオリ氏支持に回らなかったことで、その票がマクリ氏に流れた。
 結果は、98・9%開票時点で、51・4%対48・6%でマクリの勝利となった。得票率で見ると僅差に見えるが、主要な州での優勢は早くから伝えられてもおり、シオリ氏の敗北宣言は早い段階で行われた。
 同国では2003年のネストル・キルチネル氏の大統領就任以来、同氏の病気で政権を引き継いだ妻クリスチーナ氏の政権2期を含め、計12年間、「キルチネリズモ」と呼ばれる強固な権力が作り上げられた。だが、年間28%に及ぶ高インフレや、4年に及ぶ経済停滞や失業に農業界や工業界の不満が募った。さらにクリスチーナ政権で汚職が進み、大統領自身も疑惑の人物になるなど国民のあいだでは不信感も募っていた。
 マクリ氏の現在の肩書きはブエノスアイレス市長だが、もともとは父親のフランコ氏が同国の建築業界最大の大物で、自身も自動車大手セヴェルの社長に就任。さらに同国最大の人気サッカー・チーム、ボカ・ジュニオールズの会長も長きに渡ってつとめていた。このようないきさつから、国民はマクリ氏に経済の建て直しを求めている。
 伯字紙は、マクリ氏勝利はブラジル経済にはプラスと受け止めている。それは、マクリ氏がブラジルとの貿易を重要視しており、クリスチーナ政権で40%落ちた貿易額の解消が期待できるからだ。
 今後の関心事には、クリスチーナ時代に進展したベネズエラとの蜜月関係が終わるか、議会では依然多数派のクリスチーナ氏の政党「勝利のための前進」を抑えられるかなどがあげられている。
 23日付G1サイトによれば、ジウマ大統領はマクリ氏に電話をかけ、祝意を伝えると共に、12月10日の就任式前にブラジルを訪問するよう求めた。ジウマ大統領は就任式にも出席する意向だ。