11月19日、リオ市北部のサンジャヌアリオ競技場、勝てば文句無し、4年ぶり6度目の優勝の決まるコリンチャンスと、残留のためには引き分けも許されないヴァスコ・ダ・ガマ(ヴァスコ)の一戦が行われた。
試合は1―1の引き分けに終わるも、同時刻に行われていた試合で2位のアトレチコが敗れたため、コリンチャンスの優勝が決まった。
それから3日後、コリンチャンスはホームにサンパウロFCを迎え撃ち6―1と撃破。優勝を祝うために詰め掛けた満員の大観衆に飛び切りの勝利をプレゼントして、優勝セレモニーに華を添えた。
今年のコリンチャンスは、全国選手権後半こそ独走状態だったものの、スタートは順調だったわけではない。開幕直前のリベルタドーレス杯でまさかの16強での敗退、足掛け3年に渡って大エースとして君臨してきたFWゲレーロの移籍、他にもエメルソン、ファビオ・サントスなどの主力流出が続き、序盤は低調な戦いに終始、第4節に地元でのパルメイラス戦で良いところなく敗れると、監督解任論さえも浮上した。
ゲレーロ移籍後、後釜に座ったヴァグネル・ラヴの調子も一向に上がらず、攻撃の軸が定まらず不安定な戦いが続くも、エリーアス、ジャジソン、レナト・アウグストの自慢の中盤トリオのコンビが熟成、ラヴも元セレソンのポテンシャルを徐々に発揮し始めると、勝ち星を伸ばし始めた。
コリンチャンス優勝の最大の要因は、今年2年ぶりに復帰した監督チッチだろう。彼の元で大幅にパフォーマンスを向上させたジャジソンなどは「今年の復活はチッチのおかげ」と語るほどの心酔ぶりだ。
主力が怪我や出場停止の時なども、代役選手の活躍が目立った。今年のDFの中心フェリペは去年は〃控えの控え〃。終盤怪我の長引いた両サイドバックも、控え選手が完全に穴を埋めた。控えの充実は、優勝決定直後に控え中心で挑んだサンパウロ戦を6―1で撃破したことでも証明される。
他にもGKのカッシオ、DFのジウ、MFのエリーアス、レナト・アウグストなどがコリンチャンスでの活躍が認められ、揃ってセレソンに選ばれているため、あちこちで再燃し始めている「チッチをセレソン監督に」の声が、コリンチャンスの不安要因にさえなっている。
来年最大の目標はブラジル王者として2度目の制覇に挑むリベルタドーレス杯か。今期の戦力が全て残り、センターフォワードに今のレギュラー、ラヴを超える選手が入れば、その可能性も決して小さなものではない。 (規)