【既報関連】2日にエドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)がジウマ大統領(労働者党・PT)の罷免請求を受理したことで、連邦政府やルーラ前大統領との関係がさらに悪化している。連邦政府は3日、閣僚を集め、対策会議を行ったが、これらの会議にテメル副大統領の姿はなかった。4日付伯字紙が報じている。
クーニャ氏は3日、ジウマ大統領がクーニャ氏の罷免請求受理後、「民主主義の原理を揺るがすような裏取引はしない」と言ったのは「大嘘だ」と批判した。
同氏によると、ジウマ大統領は2日朝、同議長の有力な支持者のひとりのアンドレ・モウラ下議(キリスト教社会党・PSC)と会い、「PT議員に反対させ、クーニャ議長の議員権剥奪の審議継続を取り下げるから、金融取引暫定納付金(CPMF)復活の議会承認に協力してくれ」と裏取引を求めたという。
さらにジャッケス・ヴァギネル官房長官(PT)も同日、PT議員は倫理委員会で審議継続に反対すると同議長に告げていたという。だが、PT議員3人はPT党首の進言通り、審議継続に賛成したため、大統領罷免請求受理を宣言した。
だが、官房長官は「嘘をついているのはどちらだ。アンドレ下議といたのは私だ」と語り、「罷免請求を受理してくれた方が、同議長による茶番劇が終わるのでかえって良かった」と皮肉った。
ルーラ前大統領も3日、クーニャ氏の罷免請求受理は「狂気の沙汰」と切り捨て、「彼が国に対してやったことに大きな憤りを感じる。国の再建はどうでもいいのか」と語った。ルーラ氏はこれまで、連邦政府にクーニャ氏の「機嫌を損ねさせるな」と助言し、下院倫理委員会のPT委員にも同議長の議員権剥奪審議「打ち切りに投票しろ」と要求していた。
ジウマ大統領は3日、連邦政府の閣僚23人を集め、対策会議を行った。ヴァギネル氏はそこで「大統領罷免という重要事項があるのに議会が休廷することはありえない」とし、同議案の早期終了を求めた。これは、審議が長引けば長引くほど、野党側が社会活動家たちに呼びかけ、ジウマ罷免運動が活発化することが予想されるからだ。
3日には下院の構成比に従い、大統領罷免問題を扱う特別委員会の委員の政党割り当て数が発表され、7日に委員の承認が行われるが、連立与党は3分の2の議席を占めているため、寝返る議員が出ない限り、罷免に必要な「3分の2」以上の得票を得るのは難しい。このことも、政府側が早期投票を望む理由だ。
だが、ミシェル・テメル副大統領は3日の対策会議に参加せず、公式に罷免反対を唱えるようにとの政府側の圧力にも無言を通した。4日にはテメル氏と密なエリゼウ・パジーリャ氏が民間航空局長官辞任を申し出、他の同党閣僚も追随する可能性があるなど、PMDB勢に気になる動きが出はじめてもいる。