ミシェル・テメル副大統領(民主運動党・PMDB)は7日、ジウマ大統領(労働者党・PT)宛に手紙を届けたが、文面には「自分は置物のような存在だった」「私とPMDBを信頼してくれたことがなかった」と書かれており、PMDBの連立与党からの離脱が懸念されはじめている。8日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は5日、「テメル氏と自分はしっかり信頼しあっている」と記者団に語ったが、テメル氏の手紙での見解はそれとはかなり異なるものだった。
テメル氏はジウマ氏への個人的な手紙と明記した上で、「いつもあなたのやりやすいように働いてきたし、PMDBがあなたの再選を支持するように動いてきた。PMDBが連立を維持してきたのは、私が党大会で親ジウマ派をまとめてきたからだ」と書いた。
だが、「私は自分が党内で培って来た尊敬や信用、政治家としての威信をかけてPMDBが連立を組み続けるよう、精一杯努力してきた。しかし、あなたから得たのは不信感と連邦政府内での小さな扱いだけだった」と続けている。
テメル氏は、「最後のPMDB党大会での連立与党維持への支持率は59・99%に過ぎなかったが、自分が副大統領候補に上がっていたから、連立維持でまとまったのだ」も記した。
また、「政治や経済の大事な決定を行う際も自分は会議に呼ばれなかった」など、自分がむげに扱われたことを11の例をあげて説明し、「呼ばれたのはPMDBの議会での票をまとめたいときと、政治危機のときだけだった」とも語った。
そして、最近の不満として、ジウマ大統領が、PMDB下院リーダーのレオナルド・ピッチアーニ氏に、大統領罷免請求に関する調査を行う特別委員会のメンバー指名や仲介の任を負わせようとしたことをあげた。PMDBを取り仕切る立場であるテメル氏を超え、ジウマ氏が党員を自分の意図のままに動かそうとしたのを不服としたのだ。
この手紙をめぐり、大統領の側近やPT関係者は概ね驚きと不快感を示した。「テメル氏が権力を狙い、罷免に賛成する側に回っているのではないか」との見方を行う人もいるという。
一方、テメル氏に近い筋の中には「ジウマ氏とPTの大臣にはテメル氏を自分たちに従わせようとするところがあった」と見る向きもある。
だが、この手紙はPMDB内でも波紋を投げかけている。ピッチアーニ下議は「4年間、置物の副大統領に過ぎなかったと言うのなら、なぜ、党内が分裂していたのを知りながら連立維持を呼びかけたんだ」と語った。リオのルイス・フェルナンド・ペゾン知事は手紙の内容が漏れる前に、罷免請求が受理された後は各種の会合にも姿を見せていない副大統領に対し「副大統領が裏切りとも取れる行動をしてはいけない」と批判していた。