下院で8日、大統領罷免に関する特別委員会の委員選出に際し、野党側が準備したシャッパ(リスト)が、各党が選んだ議員のリストに無記名投票で勝利する事態が起きた。不服とした与党側が最高裁に訴えたところ、最高裁が査定を行うことになり、特別委員会の結成は16日まで延期されることとなった。9日付伯字紙が報じている。
下院は当初、7日に特別委員会の委員を決める意向だったが、同日は、民主運動党(PMDB)の反政府派の議員らが同党下院リーダーのレオナルド・ピッチアーニ氏の選出した特別委員会の委員が気に入らず、論争が始まったため、野党側が別のリストを作成して提出することを求めた。それをエドゥアルド・クーニャ議長(PMDB)が認めたため、委員会結成も先送りになった。
そして翌8日、野党側は13党39人分のリストを作成し、それと当初のリストのどちらかを選ばせる投票にかけた。野党側が準備したリストにはPMDBや進歩党(PP)、社会民主党(PSD)の議員も含まれているが、その中には、明らかに反政府派と見られる議員たちの名前も見受けられた。
さらに、投票方法が無記名投票となったことが政府寄りの与党議員の不興を買った。これに怒った与党議員たちは投票の際、野党側議員たちと言い争いとなり、14あった投票箱の内、10個がなんらかの形で壊される事態まで起きた。
投票の結果は、272対199で野党側が勝利した。マスコミはこれを、今回の大統領罷免議案の過程における、野党側の最初の勝利として報道した。
しかし、無記名投票との決定を不服としたブラジル共産党(PCdoB)が最高裁に訴えを起こしたため、ルイス・エジソン・ファキン判事は「無記名投票の可否は憲法や下院の運営規則に明記されていない」とし、16日開催の最高裁本審理まで特別委員会結成を差し止めた。
特別委員会の委員は各党が選ぶことになっているが、PMDBは親ジウマ派のピッチアーニ氏が親ジウマ派や中道派のみを選んだため、反政府派議員が反発した。ジウマ大統領がピッチアーニ氏を特別委員会の委員選出の責任者としたことは、「越権行為」だとしてミシェル・テメル副大統領を憤慨させ、ジウマ大統領との間の亀裂を生じさせる元にもなった。
最高裁の決定を受け、特別委員会の委員の見直しも予想されるが、PMDBは9日、ピッチアーニ氏を下院リーダーから外すことを決め、後任にレオナルド・キントン氏を据えた。決定にはクーニャ議長も絡んでいる。