デカセギ帰伯児童の教育・生活支援を行っている「カエル・プロジェクト」(中川郷子代表)が5日、毎年恒例の「フェスタ・デ・ナタル」を行ない、サンパウロ市ヴィラ・カロン区の小学校に子どもたちの笑顔と元気な声が響いた。
未就学児から10代後半まで、70人の子どもたちは、楽器の演奏披露や輪になってダンス、4グループに分かれたゲームを楽しみ、一年間の活動を締めくくった。
2年前から参加する石川健治くん(14、三世)は1歳で日本へ移り長野市で育ったが、震災の影響で11年に帰国した。日本の公立学校に通った10歳の少年にとって当地の学校は馴染めず、「友達が全然できなかったんだ」と話す。
「ブラジルで最初の友達はカエルでできた。友達の作り方を思い出した感じ」。今では学校にも馴染み、ポ語での会話も問題ない。
将来の夢を聞くと「ラーメン屋を開くこと。日本にいる友達と約束した」と照れた表情を見せる。「いつかは日本に帰りたい。日本語は忘れたくない」と、強い意思のある目で記者を見た。
奥山秀紀くん(16、三世)は栃木県真岡市で生まれ育ち、震災後サンパウロ市に。対照的に「日本を忘れたくない気持ちはあるけど、帰るつもりはない」という。
帰国当時を振り返り、「日本の高校に行って日本で働くつもりだった。心の準備なんてあるわけない」と溢すが、4年が経った今は、「住み易いのはこっちだと思ってる」。生物工学の仕事に就くため、勉強中だという。
同プロジェクトでは、月1回のワークショップの他、移民史料館や市立劇場の見学等を通した精神的な支援と語学指導を続けている。
中川代表は、「今年は子どもたちの成長が見られた。そろそろ卒業してもいい子もいるけど、本人が求める限りは支援を続けたい」と話している。
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