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「明日のミュージアム」の外観(Tomaz Silva/Agência Brasil)
「明日のミュージアム」の外観(Tomaz Silva/Agência Brasil)

リオで新世代博物館オープン=地球にやさしい「明日のミュージアム」

 17日、〃ポルト・マラヴィーリャ〃の名前でも知られるリオデジャネイロ市北部の港湾地区のマウアー広場で、新世代博物館、その名も「明日のミュージアム(ムゼウ・ド・アマニャン)」が晴れてオープンとなった。

もう少し遠くから見た「明日のミュージアム」(Cristina Índio do Brasil/Agência Brasil)

もう少し遠くから見た「明日のミュージアム」(Cristina Índio do Brasil/Agência Brasil)

 この「明日の~」は、リオの最大のメディア企業、グローボ・グループ傘下のロベルト・マリーニョ財団が、総工費2億3千万レアルをかけて建設したものだ。
 1万5千平米あるという巨大な博物館は、アテネ・オリンピックのスタジアムの設計者としても知られるスペインの世界的建築家サンティアゴ・カラトラヴァの手によるアヴァンギャルドなもので、その外観は博物館の内容以上に、ブラジルのメディアで話題となっている。
 この博物館は環境問題をテーマにしており、館内は「宇宙」「地球」「人新生(人間が産業革命などで環境に影響を及ぼすようになった時代)」「現在」「未来」の五つに分かれている。外部にはブーレ・マックスが設計した庭園や池などもあり、博物館全体が、来場者に環境問題への自覚を促すよう工夫されている。
 同博物館自体も通常の建造物より40%少ない電力で機能するようにできており、電力使用量の9%は太陽光発電でまかなわれている。太陽光発電用のパネルは、日照時間にあわせて、自動的に向きを変え、太陽光を最大限利用できるよう設計されている。
 17日の開館式には、リオのエドゥアルド・パエス市長やフェルナンド・ペゾン知事に加え、ジウマ大統領も出席。大統領はスピーチで、「この博物館はわが国の若者や子供たちにとって、大きな意味を持つ存在となるはずだ」と強い口調で語った後、「でもそれは8年後からだろう。5歳になる私の孫は、科学の言葉がわからないのにもうこの博物館に夢中だ」と言って、会場の笑いを誘った。
 また、「宇宙の創成期から現在に至るまでを描き出し、人類が持つ思考力や人を人たらしめる文化の創出力などを示すと共に、芸術の持つ力を余すところなく見せてくれる」「この博物館はほどなくしてリオ市の歴史的な遺産となると共に、人類の歴史的資産にもなるはずだ」と絶賛し、「同博物館の完成で、リオ市海岸部はブラジルの歴史を語る偉大な場所の一つに生まれ変わる」とも語った。
 同博物館を設計したカラトラヴァ氏は、「一緒に来た息子はこの街は世界で一番美しい街だと言った。息子がそう信じた事は、私がそう信じる事よりずっと大切だ」と語った。カラトラヴァ氏は、この博物館がリオ市民のものとなり、今生きている人達だけにではなく、これから生まれる人達にも愛され、親しまれる事を望んでいる。
 同館の一般公開は19日の午前10時からはじまり、オープン記念として、20日午後18時まで休みなしの32時間マラソン営業を敢行。その結果、2万5473人の来場を記録し、各種の展示、歌手のジオゴ・ノゲイラやマンドリン奏者のハミルトン・デ・オランダによるショー、オーケストラの演奏などを楽しんだ。同博物館には、リオ五輪の際の名物観光名所の仲間入りも期待されている。(18日付アジェンシア・ブラジル、21日付エスタード紙などより)