【既報関連】21日午後、サンパウロ市中央部ルス駅に併設されたポルトガル語博物館(MLP)で発生した火災の翌日、サンパウロ州技術調査院(IPT)は、同駅が営業を再開するためには、補修工事が必要だとの初期調査報告書を提出したと23日付エスタード紙が報じた。
この調査はサンパウロ州都電公社(CPTM)の要請で行われたものだ。MLPで発生した火事は電気系統のショートが原因と見られ、消防士1人の命を奪った上、駅舎の一部に亀裂を生じさせた。
IPTは10時間以上かけて現場を調査し、同駅を行き来する30万人の安全確保のためには、車両による振動で亀裂が広がらないことなどを確認し、修復工事を行う必要があるとの見解を明らかにした。21日以降、同駅ではCPTM2線が乗降不能となっている。
ルス駅駅舎の消防設備や消防局の査察の不備は火災直後から指摘されていたが、23日付フォーリャ紙は、サンパウロ市内13カ所の文化施設の内、9館がサンパウロ市や消防署からの許可を取っていないことを露にした。
消火器の数や非常口の設置などを定めた消防監査証書(AVCB)を取得していない施設は、MLPとサンパウロ美術館(MASP)、サンパウロ近代美術館(MAM)、セントロ・クルトゥラルだ。
250人以上を収容する施設の安全基準を定めたサンパウロ市発行の営業許可書未取得は、前述の4館の他、絵画館など5館の名前が上がっている。
ルス駅はCPTMの7号線、11号線と、サンパウロ市を南北に走る地下鉄1号線と、4号線の4線が乗り入れる交通の要所だ。
ルス駅では現在、CPTMの2線は運行されておらず、7号線はバラ・フンダ駅、11号線はブラス駅からの折り返し運転になっている。いつもならルス駅に流れる乗客も降りるため、バラ・フンダ、ブラス両駅の混雑は激しくなっている。
地下鉄のルス駅は火災の影響を受けておらず、1号線、4号線間の乗り換えもスムーズだ。
また22日は、消火活動中に大量の煙を吸って倒れ、一酸化炭素中毒で亡くなった消防士、ロナウド・ダ・クルスさん(39)の葬儀も行われた。妻のリタ・デ・カッシア・クルスさん(49)は、「彼は自分の職務に殉じた。MLPの事を自分の家のように思っていた。彼は私にとって英雄」と語った。