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ジュンジアイー=ブドウの里に市街化の波=作付面積が急減した農家も

 サンパウロ州内陸部にあるジュンジアイー市は同州一のブドウの生産地で、〃ブドウの里〃の異名も持つが、近年は市街化が進み、生産農家が苦悩している。
 84歳のラファエル・シビネルさんの場合、7ヘクタールあったブドウ畑が2ヘクタール以下に減った。主な原因は市街化で、畑の周りはコンドミニアムや工場、車の通りの激しい大通りで囲まれている。
 ラファエルさんの息子のリカルド・ルイスさん(40)は「生産できる限り生産を続けるけど、人家や車が増え過ぎて、農家の領分を侵しているよ」と語る。
 シビネルさん一家は、市街化で畑を失った農家の一例に過ぎない。人口40万人の街に新築家屋が次々に建ち始めたのは2011年。それ以降、同市では市街化区域が拡大し、住宅やアパートなどが1万3千できた。
 民家や工場、道路の拡大で農地が狭くなった農家救済の、市役所では、新しい栽培技術や栽培方法の開発、地元で生産する農家への助成金制度導入などを図ってきた。
 最新の取り組みは、市の開発プランを見直し、農地を4万平方キロ増やすというもので、市農務局のマルコス・ブルニョリ局長も、「同州一のブドウの産地だから、この文化は残したい。ジュンジアイーが持つブドウの歴史は保存すべきだ」と語っている。
 1981年の同市の農地面積は431平方キロだが、今日では、ジャピ丘陵の水源地などを入れてもその半分しかない。実際に生産活動を行っている農地の数は、ここ10年間で20%減っている。現在の農家は1500世帯で、その約10%がブドウの生産を行っている。
 改善策の一つは、栽培面積の減少に対処するため、場所をとる垣根仕立てから、リオ・グランデ・ド・スル州などが採用しているY字型にする事だ。2012年から方式を変更したモアシル・マッジさんは、これによって生産性が20%向上。18万本あるブドウの内、4万本をY字型に切り替えた結果、収穫量は5万8000箱から7万箱に増えたという。
 マッジさんによると、Y型は機械化が容易で、90%を機械で収穫できるため、15人で行っていた作業が12人で出来るようになり、人件費も節約できるという。
 市農務局の資料によると、新方式だとヘクタール当たりの収量は最大55トンに伸び、旧方式より266%も効率が良くなるという。ここ数年間の平均収量は2万トンで、今季の収量予想は2万5千トンだから、その差は大きい。
 マッジさんは、市役所が支払う農業保険の補助金、1万2700レにも感謝している。2015年に発足した補助金制度は、生産農家がブドウの栽培を続けるために導入された。今年は26万レが払い出されたが、市役所は来年、30万レを投ずる意向でいる。
 マッジさんの畑を買いたいとオファーを提示した不動産屋もあるが、本人は「死ぬまでここにいるさ。俺が死んだら、ブドウの木の根元に埋めてもらいたいしね」と公言している。(25日付フォーリャ紙より)