1日から最低賃金(最賃)が880レアルに改定されたが、高インフレで実質ゼロ調整となる一方、国庫負担は予算案計上された額より29億レ増えると12月30日付伯字紙が報じた。
昨年の最賃は788レだから労働者党(PT)政権では最大の11・67%の調整だ。議会が承認した予算では871レだった最賃が880レとなった事で、国庫負担増加額は予算計上分の273億レより29億レ増え、302億レとなる。
最低賃金は、月収1~5最賃の家庭を対象とした前年の物価上昇分(INPC)に前々年の経済成長率を加味して算定される。予算承認時より9レ高くなったのは、インフレが昂進したためだ。最賃引き上げで生じる国庫負担は年金などの社会保障費中心で、最賃が1レ上がると社会保障費は2億3510万レ増す。
15年11月までの12カ月間のINPCは10・97%で、14年の経済成長率0・1%を加味しても最賃は874レ程度のはずだが、ジウマ大統領は、12月までのINPC11・57%で最賃額を調整した上、端数を切り上げるという方法をとった。ただし、92レの増額分中、インフレ分を差し引いた実質増は0・79レに止まる。
フォーリャ紙は、ジウマ大統領が最賃を高めに調整したのは、PT政権を支援する労組などの歓心を買う事と最賃引き上げによる経済効果を狙ったとしている。ブラジルには最賃を受け取っている人が4830万人おり、2250万人は年金や恩給受給者。1350万人は給与所得者で、820万人は自営業、家庭内労働者も399万人いる。
29億レの負担増分をカバーする財源は確保されておらず、増税、経費削減、基礎的財政収支の黒字目標(国内総生産の0・5%)修正の三つの内、どれが採用されるかも注目される。最賃改定により、年金受給額上限は4663レが5203レになる見込みだ。