ジウマ大統領は15年12月30日、国庫から724億レアルを引き出したりして、社会開発経済銀行(BNDES)などに粉飾会計分の支払を行った。これは自身が大統領に就任して以降の粉飾会計と疑われる額のすべてで、大統領罷免をなんとしてでも食い止めたい意向の表れだ。12月31日~1月4日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は昨年10月、連邦政府がミーニャ・ヴィーダ・ミーニャ・カーザやボウサ・ファミリアなどの社会政策に関し、返済を行わないまま公的銀行から貸付を行っていたとして、連邦会計検査院(TCU)から財政責任法違反に問われていた。
今回の支払は公的銀行が肩代わりして払い出していた社会政策費の返済として行われたもので、支払先の内訳はBNDESに300億、ブラジル銀行に182億、勤務年限保障基金(FGTS)に227億、連邦貯蓄銀行(CAIXA)に15億レアルとなっている。
また、注目すべきは返済額の内容で、556億レアルが11年から14年の返済の遅れた分、168億レアルが15年1月1日から6月30日分の返済額となっている。
ジウマ大統領は、14年度の連邦政府会計の財政責任法違反を問われたが、15年度に関しても違反行為を繰り返しているとして、野党側から大統領罷免請求を出されていた。今回、15年上半期の分までの支払を行ったのは、野党側からの攻撃材料を軽減させたかったためだと思われる。
また、1日付エスタード紙によれば、連邦政府は15年、上院議員や下院議員に対する議員割当金を、前年の67億レアルから72億レアルに拡大している。経済危機による歳入減で、政府の財政はかなり緊縮を迫られている状況だが、それでも割当金の支出を拡大したのは、割当金支払いを義務化したことと、大統領罷免をなんとしてでも食い止めたい気持ちの表れのようだ。
だが、これで連邦政府の不安が解消したわけではない。現在の政府の心配事は、いかにして、3月に予定されているTCUの裁判で、12月21日に就任したばかりのネルソン・バルボーザ財務相を守るかだ。
バルボーザ氏は14年度連邦政府の粉飾会計に関し、それを許してきた17人の責任者のひとりとして、BNDESや中央銀行、ブラジル銀行、CAIXAの総裁などと共に、3月の裁判で裁かれることとなる。もし、これで財務相辞任に追い込まれるようなことになると、世界の経済界に対しての信用がガタ落ちとなるため、政府としては死守したいところだ。