サンパウロ州ミランドーポリス市の弓場農場(コムニダーデ・ユバ協会、望月友三代表)が12月25、30日に、恒例の「クリスマスの集い」を開催した。25日には生憎の雨にも関わらず、地元を始めサンパウロ市からのファンら約300人が集まり、作業の合間を縫って熱心に稽古に励む〃農民の芸術〃に大きな拍手が送られた。
午後7時の開演を前に夕方から大雨に見舞われ、まさかの電気関係のトラブルまで発生し、一時は開催すら危ぶまれた。しかし徐々に小降りになり、電気も直前に復旧、無事開催を迎えた。
最初に第一アリアンサ会長でもある望月代表が、同農場が15年で80周年を迎えたことを紹介し、「これからも子ども達の〃里〃を残すため頑張っていく」と力強い挨拶をした。
拍手の中始まった第1部は「音楽」。弓場トシコさんの「組曲ドリー・子守唄」の雨音をなだめるような優しい音色が響いた。弦楽演奏では8人がヴァイオリンやチェロで「ロンド」を荘厳に、サックスの矢崎勇さんはフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」を滑らかに奏でた。
2部は「バレエ」。若手の弓場幸江さんが振り付けた「バイランド」では、赤と黒のドレスを纏った二組のバレリーナに加え、バレリーノも登場、情熱的な印象を与えた。「フィナーレ」のサンタの衣装の子ども達も登場には、出演者も会場も皆が笑顔。
3部の「演劇」、「楽しき人々」は世界中の喜劇集めてアレンジした。日常の中にある笑いからちょっとしたファンタジーまで、日本の世界観を持たせつつ、字幕を通しても楽しめる内容。幕間に登場したコミカルな衣装のダンサーたちも妙に愉快で笑いを誘った。最後は演者の全員集合と共に幕は下りた。
最前列で舞台を見ていたサンパウロ市から訪れた輪湖真理さん(ペレイラ・バレット出身、50、三世)は「子どもの頃から欠かさずに来ている。このバレエを見ないと、ナタルって感じがしないから」と笑顔で話した。
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弓場農場「クリスマスの集い」、開場前に「10分間送れたことをお詫びいたします」とアナウンスが流れた。電気の復旧に時間がかかったためだ。何気ない一言、恐らく誰一人そんなことは気にしていないとは思った。しかし、あとから弓場の人達から「こんなこと今まで無い。遅れるなんて本当は許されない」と反省の声が聞かれた。もちろん入場は無料だが、「我々が招待してるんだ。帰る時間が遅れたら申し訳ない」と同農場の矢崎正勝さん。生真面目さから生まれる信頼が農場を80年間続けさせたんだと知った。