5日にベネズエラの議会が今年初日を迎えたが、反チャヴィズモ派が議会で多数を占める17年ぶりの議会とあって、早くも緊迫した空気が流れていると、5日付伯字紙が報じている。
昨年12月に行われた選挙では、故ウゴ・チャヴェス前大統領を受け継ぐニコラス・マドゥーロ大統領の統一社会党(PSUV)が55議席しか獲得できず、民主統一会議(MUD)とその連合が、その約2倍となる112議席を獲得。議会の約3分の2が反大統領勢力になるという、一大変革が訪れた。
これにより、早速、政府と議会のあいだで攻防が起こっている。政府は既に、議会とは別に、予算案の承認や「民衆の立場に立った議案の審議」が可能な「民衆議会」を設置。さらに最高裁に当たる高等裁の裁判官の32人中13人をチャヴィズモ派に換えている。
その高等裁は、12月の選挙に違反したとして4人の議員の当選を差し止めたが、その3人はMUDの政治家だ。高等裁の今後の判断次第では、MUDとその連合は、憲法改正なども可能な3分の2の議席を確保できなくなる可能性がある。
これに対し、新議長のヘンリー・ラモス・アルップ氏は、選挙違反に関する最高裁の決定を無視するとの声明を出している。
アルップ議長は、チャヴェス前大統領の時代に行われた公金流用の疑惑に関し、徹底的に調べ上げると、テレビのインタビューで答えている。同議長は「政治危機を解決するためには、マドゥーロ大統領が辞任するのが一番だ」と公言している。
一方、マドゥーロ大統領も5日、官報を通じ、議会から中央銀行の経営審議会に6人の委員を選ぶ権利を剥奪するとの声明を出すなど、議会と対決姿勢を見せている。
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