国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)と生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)が7日、ミナス州マリアナで起きたサマルコ社の鉱滓ダム決壊で流れ出した汚泥がバイア州南部のアブロリョス国立海洋公園に到達した可能性があるとして警告を発したと8日付伯字紙が報じた。
鉱滓ダム決壊は11月5日の出来事だが、IbamaやICMBioによると、強い風が数日続いた後、アブロリョス海洋公園の周辺海域で海水の色が変化したという。色の変化は衛星写真でも確認されており、研究者達は即座に海水の分析を開始した。結果が出るには10日を要する。
海水の色が変わった原因は土地の浸食による土砂流入の可能性もあるが、関係者はサマルコ社の鉱滓ダムから流出した汚泥が同州沖に到達したのが原因と見ている。
連絡を受けたサマルコ社は即座に小型機を飛ばして現場海域を視察。衛星写真の映像も確認した上で、ダム決壊で流出した鉱滓が、ドッセ川を経てエスピリトサント(ES)州沖に流れ込み、海水と混ざりあった後に強い風と波によってバイア州沖まで運ばれたとの見解を明らかにした。
アブロリョス海洋公園はサンゴなど、生物の多様性で知られ、鯨の増殖にも重要な役割を果たしている。汚泥で海水が濁り、日光がさえぎられれば、海中での光合成が妨げられ、動植物の生態にも重大な影響が及ぶ事が懸念される。ICMBioのクラウジオ・マレッティ所長は、海洋公園は閉鎖しないが、海水酸性化などで危険にさらされていたサンゴの一部が絶滅する可能性があると指摘している。
なお、鉱滓ダムの汚泥流入後、ES州では、海水浴には不適と判断された海域が続出。サマルコ社は毎週行う水質検査でも重金属類は検出されていないというが、海岸部の町ではホテルのキャンセルも相次ぎ、閑古鳥が鳴いているという。