ホーム | ビジネスニュース | 15年インフレは10%超=電気代、燃料代が牽引=Selicの上昇有力か=今年も目標上限達成厳しく
アレシャンドレ・トンビニ中銀総裁(Jose Cruz/Agencia Brasil)
アレシャンドレ・トンビニ中銀総裁(Jose Cruz/Agencia Brasil)

15年インフレは10%超=電気代、燃料代が牽引=Selicの上昇有力か=今年も目標上限達成厳しく

 15年のインフレ率は政府目標上限の6・5%を大きく上回る10・67%を記録し、12・53%を記録した02年以来13年ぶりの高水準だった事が判明したと9日付伯字各紙が報じた。

 8日にブラジル地理統計院(IBGE)が15年の広範囲消費者物価指数(IPCA)を発表して数時間後、アレシャンドレ・トンビニ中銀(BC)総裁はネルソン・バルボーザ財相宛に、IPCAが政府目標上限を大幅に超えた理由を説明する公開書簡を送った。
 同書簡では、IPCAが目標上限値を大幅に上回った理由に、政府の財政政策、経済政策の失敗を挙げている。BCは、政府の財政調整の不徹底が、中長期に渡りミクロ経済に影響したとした。 また、国際的な動向と関連し、為替が大幅なドル高レアル安に動いた事も、国内で売買される品物の価格上昇につながったとしている。
 IPCAが政府の目標上限を上回ったのは15年以外にも3回(2001、02、03年)あるが、BCが今回ほど素早く反応した例はない。この事からは、経済基本金利(Selic)について改めて話し合う19、20日の通貨政策委員会(Copom)の前に、経済情勢を落ち着かせたいとのBCの意図が見える。BCは同書簡で、今年のIPCAが再び目標上限を上回る可能性が強いため、折を見てSelicを引き上げる意向である事も示唆した。
 昨年のIPCAが2桁に達した主要因は、食費や電気代、ガソリン代の上昇だ。電気代やガソリン代は特に、14年の選挙対策として政府が低く抑えていた分、穴埋めで二重に上昇した。
 電気代は昨年、51%上昇し、IPCAを1・5%ポイント押し上げた。ペトロブラス社がガソリンとディーゼル油を2度値上げした上、エタノール燃料も上がったため、燃料価格は全体で21・43%上昇した。昨年のインフレの24%は電力と燃料価格上昇に起因する。
 政府の価格統制品は18・08%上昇し、それが年間のインフレ傾向を支配した。サービス費なども含む多品目の価格が毎月上昇し、12月の段階ではIBGEが調査した373品目中、42・9%にあたる160品目で10%以上の価格上昇を記録した。
 昨年来のインフレの慣性の力が働く事と、今年も燃料への経済支配介入納付金(Cide)引き上げが有力視されている事から、専門家たちは、今年のIPCAは、昨年の10・67%ほどにはならないまでも、政府目標上限の6・5%を上回ると予想している。