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アルジェリア人学者離伯か=仏でテロ関与収監歴有り=関与否定も政府対応に失望

 テロ行為を企てたとして、2009~12年にフランスで服役し、今はリオ連邦大学(UFRJ)で客員教授を務める仏系アルジェリア人物理学者のアドゥレーネ・イシャー(39)氏が離伯寸前だと14日付エスタード紙が報じた。
 UFRJ客員教授のイシャー氏は、仏国でテロ組織との関与を疑われ、服役歴があったことを8日付エポカ誌が暴いて以来、微妙な立場に立たされていた。
 同氏は13日に同僚にブラジルを離れる意志を伝えるメールを送ったが、UFRJには正式な申し出がないため、大学側は静観する構えだ。
 メルカダンテ教育相は13日、UFRJ関係者と会談し、イシャー氏がUFRJに辞職願を出す意向であることを知らされた。ブラジル政府は、イシャー氏の自主的な国外退去を望んでいる。
 13年にイシャー氏をUFRJに招聘した際の責任者で、同校付属ブラジル物理学研究センター(CBPF)調査員のイグナシオ・ベジアガ教授は、イシャー氏はとても動揺しているとした。
 ベジアガ教授はまた、イシャー氏が離伯の際は両親の住む仏国に向かうだろうとしている。
 イシャー氏はリオ市内のイスラム教徒の集会にも参加しているが、15年1月にパリでイスラム教を批判する新聞社襲撃事件が起きた直後、集会内でイスラム国(IS)支持を表明する人物が表れ、集会の責任者がその人物の特定を連邦警察に依頼。イシャー氏の動向にも注意を向けるようになった連警が、同氏の自宅と研究室の家宅捜索を行う騒ぎも起きていた。
 イシャー氏は09年までスイスの欧州原子核研究機構での研究に携わっていたが、健康上の理由で両親の住む仏国に戻った。その後、イスラム原理主義者の集るネット掲示板にアクセスするようになり、仏政府がテロ集団アル・カイダの一員と目している人物ともメールを交換した。仏当局が傍受したメールの中に同氏とテロ集団との関連を示す内容があったとし、同氏を逮捕した後、懲役5年の刑を受けたが、12年に釈放され、13年に来伯していた。
 13日にはUFRJ、CBPFなどの研究者14人が、イシャー氏のブラジル滞在を認めるよう、署名入りの嘆願書を提出している。