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MST=アウキミンと接近示す?=PT地盤の活動団体だが=ジウマの対話不足突かれる=18年大統領選に影響か

 大型の社会運動団体のひとつ、土地なし農民運動(または農地占拠運動、MST)の代表が14日、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)が裁可し、サンパウロ市のサンパウロ州庁舎で行われた新しい土地条例の調印式に参加し、同条例を賞賛した。これは、労働者党(PT)の拠り所でもあった社会運動団体のPT離れを象徴する出来事となった。15日付伯字紙が報じている。

 同条例は、州内の農地に定住したMSTのメンバーの土地を子供名義にすることを認め、銀行の融資を受けるのを容易にするものだ。州側はこれを「MSTの人だけを対象にしたわけではなく、州の農業行政全般を考慮したものだ」としているが、この新条例により、7千世帯が恩恵を受けると思われている。
 14日に州庁舎で行われた新条例の調印式にはMSTの代表者たちもかけつけたが、そこでは異例の光景が見られた。彼らのトレードマークで、PTの党カラーと同じ赤の旗、赤の帽子は持ち込まなかったのだ。昨年8月に同団体が大統領府で会合を行った際は、MSTのメンバーの大半が赤い帽子をかぶっていたのと全く対照的だった。
 これに関し、MSTのリーダーのひとりのジウマール・マウロ氏は「私たちは調印式に呼ばれた身に過ぎないし、この条例は我々が勝ちとったものではないから」と装いの違いを説明したが、州知事との関係に変化が出てきたとはいえ、MSTを象徴する旗や帽子を同知事に託す決断は付けかねていることの表れとも見られている。
 だが、マウロ氏はここで「この条例はブラジル最高の土地法だ」と絶賛した上、国政レベルでも取り入れられるよう望んで、ジウマ大統領にプレッシャーをかけた。
 MSTのような、低所得者を中心とする社会運動団体はPTとの結びつきが強く、企業家の味方というイメージが強いPSDBとは敵対関係という印象が持たれていた。だが、アウキミン知事は2014年9月頃からMSTと接触を持ち、対話を重ねてきたという。
 また、これは、ジウマ大統領がかねてから弱いとされていた、社会運動団体との対話不足を露呈した形ともなった。同大統領の対話不足への不満は労働組合からもよく聞かれる話で、対話に強みを見せていたルーラ前大統領としばし比較され、批判されていた。
 アウキミン知事はこの日、ジウマ大統領のその弱点も意識してか、「開かれた対話は必要。対話が多いほど、失政は少ない」と語っていた。
 アウキミン知事は、PSDB党首で14年選挙でジウマ氏と争ったアエシオ・ネーヴェス氏や、サンパウロ州元知事で10年選挙でジウマ氏と争ったジョゼ・セーラ氏と共に、18年の大統領選の同党の有力候補のひとりだ。マウロ氏は「PSDB候補がMSTに有益になる政策を行うなら、支持を拒まない」と語っている。