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アカデミー賞ノミネート=「アニメ業界への反抗の叫びだった」=伏兵のブラジル人監督、語る

 14日に発表された、アメリカの映画賞の権威、アカデミー賞でブラジル人では初となる長編アニメ部門にノミネートされたアニメ映画監督、アレー・アブレウに一躍注目が集まっている。
 今回のノミネートは、ブラジル国内でも全く予想されていないことだった。2013年に製作された映画「オ・メニーノ・エ・オ・ムンド(日本語にすると「少年と世界」)」が3年後にノミネートを受けることもそうだが、他のそうそうたるノミネート陣と比べ、同作の存在は本当に小さなものだからだ。
 それもそのはず。受賞本命と見られているアメリカのアニメ製作大手、ピクサーの世界的大ヒット作「インサイド・ヘッド」の制作費は1億7500万ドル(約7億レアル)なのに対し、アレーの映画にかけられた費用はわずか200万レアル。その差は実に350倍。フォーリャ紙はこの対比を、旧約聖書に出てくる巨人ゴリアテと少年ダビデの戦いにたとえて紹介している。
 ただ、低予算での製作とはいえ、アレーの通算2作目となるこの長編アニメは世界各国のアニメ映画祭で好評を博し、フランスのアネシー・アニメ映画祭でグランプリを獲得したのをはじめ、既に44の賞を受賞している。
 ノミネートが決まったこの日、フォーリャ紙はサンパウロ市内にあるアレーのスタジオに電話をかけたが、本人は携帯電話も持たずにサンパウロ州の内陸部に出かけていて留守だった。
 だが、アレーのフェイスブックには、ノミネート発表から2時間後の午後1時くらいに本人による書き込みがあり、自身の制作スタッフや、同作をアメリカに売り込んだアンシネ社のスタッフらへの感謝の言葉が書かれていた。
 さらにアレーは本作について、「この作品は、芸術的で詩的な表現の可能性を潰そうとする巨大なアニメ業界に対する反抗的な叫びとして作られた」と言及し、「この叫びがこだますべきところでこだました、ということなんだと思う」と記した。
 ピクサーの「インサイド・ヘッド」をはじめ、イギリスのアードマン・スタジオの「ひつじのショーン」、日本のスタジオ・ジブリの「思い出のマーニー」など、他のノミネート作は世界的に名高いアニメ製作の大手の作品がズラリと並んでいる。その中で、ブラジルで生まれた低予算の伏兵がどこまで注目されるかに期待したい。(15日付フォーリャ紙より)