埼玉県庁の県民生活部、久保正美スポーツ局長ほか「オリンピック・パラリンピック課」職員ら4人の視察団が15日に来伯、リオ五輪会場となる各施設を訪問した。2020年東京五輪では同県内各施設でもサッカー、バスケットボール、ゴルフ、射撃の4種目の開催が決定していることを受け、参考にするために観て回った。
一行は上記4種目の会場ほか、開会式が行われるマラカナン蹴球場、日本見本市やメダリストの記者会見が催される「JAPAN HOUSE」予定地、本番を想定したバスケットボールのテストイベント等を視察した。
リオ市五輪運営部長との意見交換では、会場や交通インフラ「都市鉄道システム」(VLT)の建設の現状や「大会の成功と同時にインフラ設備などのレガシー(遺産)を残すことも大切」と説明があったという。
久保局長は「意見が合致した」というが、使用予定のバスケットボール「さいたまスーパーアリーナ」、サッカー「埼玉スタジアム」、ゴルフ「霞ヶ関カンツリー倶楽部」、射撃「陸上自衛隊朝霞訓練場」は、いずれも既存の施設のままで大規模な改修工事を必要としない。
そこで残すべきは「ソフト面のレガシー」、つまり「人材の育成」だ。競技会場や公共交通機関に配置するボランティアは、県によって募集・育成される。正式なボランティア以外にも「県民全体が〃おもてなし〃の精神を持って観光客を迎え、五輪を盛り上げる姿勢も大切」と指摘。県では今後、8月の開催期間中にも視察を重ねる予定で、引き続きソフト面に注目する意向だ。
率直な感想として久保局長は、「工事が追いつかないところもあると思うが、想定していたよりは完成度が高かった」との評価。肝心のソフト面は、テストイベントはほぼポ語対応のみだったことから、「多言語対応の必要を感じた」との感想も漏れ、あまり参考にならなかったよう。
ブラジルオリンピック委員会(BOC)を訪れ、東京五輪のキャンプ誘致のプレゼンも行った。同県ではバレーボール、ラグビー等の10カ所を候補地として挙げ、多言語に対応した施設の魅力を伝えるパンフレットの作成などをしている。
なお18日夜には埼玉県人会(尾崎眞次会長)との交流食事会がサンパウロ市ホテルで催され、五輪に関する意見交換が行われた。途中、尾崎会長へ上田清司知事からの親書が手渡され、互いに親交を深めあった。一行はサンパウロ市でも競技施設等を視察、19日に帰国した。