ホーム | 日系社会ニュース | CKC=日系農業連携交流事業=(上)=茶業で深まる技術協力=女性の活躍にも期待
お茶を新産業にすべく奔走するラーモス移住地の尾中さんが現状報告
お茶を新産業にすべく奔走するラーモス移住地の尾中さんが現状報告

CKC=日系農業連携交流事業=(上)=茶業で深まる技術協力=女性の活躍にも期待

 農林水産省が中央開発コーポレーション(以下CKC、本社・東京、山口達郎所長)に委託する「平成27年度中南米日系農業者連携交流委託事業」の一環、『第2回日系農業団体連携強化会議』が1月29日から二日間、サンパウロ州イビウーナ市内のホテルで行われた。ブラジル、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチンから50人を越える農業関係が集まり、報告や活発な意見交換が行われた。

 昨年7月にサンパウロ市で行われた第1回会議で出された提案に対し、CKCが支援実施した各視察や技術交流の成果報告、また有機栽培や水耕農業などの先進的な農業が盛んなイビウーナの現状報告が行われた。農水省国際部から安原学国際交渉官、石倉智美さん、在聖日本国総領事館から藍原健副領事が出席した。同事業は平成25(2013)年度開始、同29(17)年度まで継続される予定。
 サンパウロ州レジストロ市の「天谷茶」製造・販売に携わる今里ディズニーさんは昨年10月、愛知県の「紅茶フェスティバル」に参加した経緯を報告した。「おばあ茶ん」の島田梅さんらと訪日し、同イベントや茶専門店を回り、気付いたのは「よいお茶には個性がある」ことだった。
 天谷茶は現在、国内でのみ販売しているが、今後数年のうちに全面的に有機栽培へ切り替える準備をしている。それをウリに国内販売を拡大、輸出も見据えている。
 これから茶業を興す取り組みを始めたサンタカタリーナ州ラーモス移住地の尾中弘孝さんの報告によれば、CKCの支援で昨年10月に訪日。本場・静岡県の試験場・茶業研究センターや、老舗の佐々木製茶で茶畑や研究施設を見学した。
 帰伯後もレジストロや「山本山」のクリチーバ近郊の茶畑の視察を重ねている。今後5年内に産業として軌道に乗せることを目標に、現在はレジストロ産と日本産の苗木を試し、土地に合った品種を研究中だ。飲料用のほかにも「ケーキやプリンなど加工食品にも応用して市場開拓をしていきたい」と意気込んだ。
 1月初旬から約1カ月間、「女性部の地域活性化交流研修」で訪日した伯、パ、ボ三国の6人も帰国直後ながら成果報告。群馬県の農家や女性組織を訪問し、加工品を製造する姿を見て、「若い人や女性を対象にした加工品の講習会を実践したい」と抱負を話した。
 パラグアイ日系農協中央会の安田ペドロさんは「農業団体で女性が理事につくことは皆無だったが、今後は女性ならではのアイデアを組み込んでいくことが必要」と意見を出し、傍聴者からも多く賛同の声が上がった。
 農協婦人部連合会(ADESC)も昨年10月にパラグアイ・アスンシオンで「第5回南米婦人部の集い」が予算の縮小がありながらも無事開催したことを報告。栖原マリーナさんは「続けることが一番大切だと思った」とし、協力団体へ感謝した。また今年、第6回開催も検討中だ。(つづく、桃園嵩一記者)