【既報関連】1月末に発行された英国の保健関連定期誌は世界にデング熱・ジカ熱などのネッタイシマ蚊(A蚊・学名より)を介して感染する伝染病を流行させる元となった国はブラジルの可能性が高いと見ており、国際保健機構(WHO)はジュネーヴで緊急委員会を開き、ジカ熱を「国際公衆衛生緊急事態」(ESPI)に該当させるか検討すると1月31日~2月1日伯字紙サイトが報じた。
英国の研究チームはブラジルからジカ熱を他国に拡散させた1千万人の渡航先を調査したところ、6割以上が南北アメリカ大陸だった。渡航先生息のA蚊がまず感染者を刺し、ウィルスを第3者に刺し、ジカ熱が拡大したと見ている。
サンパウロ総合大学(USP)のウィルス学者パオロ・ザノット氏は、批判されている「マルセロ・カストロ保健相の『ブラジルは蚊との戦いに敗れている』発言はあながち間違っておらず、事態はさらに悪化している。『世界は蚊との戦いに敗れている』と発言していたら、より正確な表現だった」と語った。
ジカ熱・デング熱拡大の原因は、A蚊の絶対数が増大したことにより、これまでジカ熱・デング熱に無縁だった地域の人々へ感染したことだ。地球温暖化もA蚊の繁殖に一役買っている。
1月28日、マーガレット・チャン世界保健機構(WHO)事務局長も「エル・ニーニョ現象に伴う地球温暖化はA蚊の増殖に寄与している」と語った。
ジカ熱の症状には、発熱や発疹、関節痛などがあり最長1週間ほど続く、致命的な症状にはなりにくいが、妊婦が感染すると、子供が小頭症で生まれてくる可能性が指摘されている
仮に14年、西アフリカで感染拡大の起こった「エボラ出欠熱」いらいのESPIと判断された場合、感染地域への渡航延期勧告が出される可能性もあり、リオ五輪を控えるブラジルにとって頭の痛い問題だ。