ブラジル政府は年金制度の見直しの中で、都市労働者(TU)、農村労働者(TR)、性別、私企業勤務者、公務員の区別をなくし、最低年金支給年齢(IM)の一本化を目指していると2日付フォーリャ紙が報じた。
政府は20年から30年かけ、段階的に年金制度改革を進めていく意向だが、この改革の対象は年金受給直前の国民ではなく、変更後の内容は現在就労中または、今後労働市場に参入する労働者に対して段階的に適用していく意向だ。
年金改革のひとつは、ブラジル中の労働者を一つの定年年齢に固定する事を目的としている。
政府の目的は世界水準を下回るIMを引き上げることにあるが、IM引き上げに関してはまだ議論が百出している。
現行の、年齢と年金支払い年数を足した数が女性は85、男性は95に達したら年金を受け取れるという制度(85、95の数字は段階的に引き上げられ、2026年には女性90、男性100になる)を強く支持する層もいる。
経済協力開発機構(OECD)加盟の先進諸国の中で、男女で年金支給年齢に違いがあるのはスイスだけだ。
政府としては年金の財源としての増税は避けたい意向で、ネルソン・バルボーザ財相や社会福祉政策関係者らは、長期的にIMを統一化する政策は年金システムの安定化に不可欠と考えている。IM統一案は今月中に開催される労働者や雇用者の会合で討論される見込みで、年金改革法案も今年上半期中に議会に提出される予定だ。
同法案に反対の姿勢を見せているのが、TRとその支持団体だ。現行制度ではTRは農作物輸出の利益にかかる年金支払いが免除される上、TUに要求される最低の積立年数を満たしてなくても年金が受給できるため、TUよりも年金支払い額が少ないまま、年金を受給している。
カチア・アブレウ農相は、国内総生産(GDP)を牽引する少数部門の農家優遇策は保たれるべきと考えている。