日本国外務省はリオのカーニバルなどのために渡航する日本人観光客や在住者に向けて、次のような「注意喚起」を2日付けで海外安全ホームページに掲載したので、ここに転載する。ジカウイルス感染症の流行に関するもので、特に妊婦及び妊娠予定の人への注意を呼びかけている(編集部)。
《1》カーニバルに関する注意喚起
ブラジルのリオデジャネイロでは、本年2月7日(日)、8日(月)を中心にカーニバルが開催されますが、同国では現在ジカウイルス感染症が流行しており、カーニバルに参加するため渡航・滞在を予定している方は、蚊に刺されないよう、十分な注意が必要です。
ジカウイルス感染症は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するので、カーニバルに参加する際には、なるべく肌を露出しない服を着用し、肌が露出した部分や衣服に有効成分の高い昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布するなど、以下《3》《4》を参考に予防策に努めて下さい。
《2》世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言
WHOは、2月1日に開催されたジカウイルス感染症に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会(第1回)会合の勧告を踏まえ、最近のブラジルにおける小頭症やその他神経障害の急増について、「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC、Public Health Emergency of International Concern)」を宣言するとともに、妊娠中及び妊娠適齢期の女性のジカウイルスへの感染を減少させるための各種対策を含む勧告を発表しました。
ジカウイルス感染症と小頭症等の関係については引き続き研究が行われていますが、WHOの緊急事態宣言を踏まえ、詳細な調査結果が得られるまでの間、特に妊娠中の方又は妊娠を予定している方は、ブラジルへの渡航・滞在を可能な限りお控え下さい。
やむを得ず渡航・滞在する場合には、在リオ総領事館等からの最新の関連情報を入手するとともに、蚊に刺されないよう十分な感染予防に努めてください。
なお、中南米等におけるジカウイルス感染症の流行に関し、感染症危険情報を発出していますので,併せて参考にしてください。
《3》ジカウイルス感染症について
(1)感染源
ジカウイルスによる感染症で、ウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。感染した人を蚊が刺すと、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊に人が刺されると感染する可能性があります。
(2)症状
ジカウイルスを保有した蚊に刺されて感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は3~12日で、およそ2割の人に発症します。発症すると軽度の発熱(38・5℃未満)、頭痛、関節痛、結膜炎、班丘疹、疲労感、倦怠感などを呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
(3)治療方法
現在、ジカウイルス感染症には有効な薬がなく、対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺されて発熱が続く、または発熱後に発疹が出たなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。
(4)予防
ジカウイルス感染症には有効なワクチンもなく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。ブラジルに旅行を予定されている方は、1月~5月にかけて蚊の繁殖が最盛期を迎えますので、次の点に十分注意の上、感染の予防に努めてください。
《注意事項》
●外出する際には長袖シャツ・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、肌の露出した部分や衣服に昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2~3時間おきに塗布する。昆虫忌避剤は,ディート(DEET)やピカリジン(Picardin)等の有効成分のうちの一つを含むものを、商品毎の用法・用量で適切に使用してください。
●室内においても、電気蚊取り器、蚊取り線香や殺虫剤、蚊帳(かや)等を効果的に使用する。
●規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
●軽度の発熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れた場合には、ジカウイルス感染症を疑って、直ちに専門医師の診断を受ける。
●蚊の繁殖を防ぐために、タイヤ、バケツ、おもちゃ、ペットの餌皿等を屋外放置しない、植木の水受け等には砂を入れるなどの対策をとる。
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