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セルジオ・モロ判事(Lula Marques/Agência PT)
セルジオ・モロ判事(Lula Marques/Agência PT)

モロ判事=オデブレヒト側の請求却下=スイスの資料の違法性めぐり=「問題は手続きのみ」と判断=O社被告に100年超の刑か

 ラヴァ・ジャット作戦を管轄するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は10日、オデブレヒト社元役員のマルシオ・ファリア被告の弁護士から出ていた、「スイス検察庁が送付した(オデブレヒトの)オフショアの銀行明細を捜査上の資料から外してほしい」との請求を却下した。11日付伯字紙が報じている。

 この請求は、ファリア被告の弁護士のドラ・カヴァルカンチ氏とラファエル・トゥシェルマン氏が、同被告を含む、オデブレヒトの被告への判決を言い渡す前の最後の弁護の方策のひとつとしてなされた。
 両弁護士は、今月2日にスイスの裁判所が「スイス検察庁が正規の手続きを経ず、同国で発見された同社の銀行口座の明細をブラジルに送ったのは違法」と判断を下したことで、ブラジル検察庁がこの資料を基に行ったファリア被告や同社関係者への告発は、正当性を欠くと主張していた。
 この資料とは、オデブレヒトがスイス国内に所有していたオフショアのハヴィンスール社の銀行明細だ。ブラジル検察庁によれば、オデブレヒトが管理する架空企業の口座明細からは、ペトロブラスのサービス部長だったレナト・ドゥケ被告に65万5千レアルの贈賄を行っていたことなどが明らかだという。
 スイスの裁判所が問題としたのは、同国の検察庁がブラジル検察庁に送った書類が、問題の口座の金の動きに関する報告書ではなく、銀行明細そのものであったことと、この資料を「ハヴィンスール社側に事情聴取を行わずに送った」ことで、それを違法扱いとした。
 ファリア被告側は「スイス当局が違法と判断した資料を捜査上の証拠として使用するのはいかがなものか」としたが、モロ判事は10日、「スイス側が問題としたのはあくまでブラジルへの送付の際の手続きであり、この資料そのものの使用を違法としたわけではない。現にスイス側は資料の返却も請求していない」として、請求を却下した。
 オデブレヒトが使った架空企業はハヴィンスールだけではなく、シャークソン、ゴラック、S&Nと計四つある。同社はこれらの口座を通じて、ドゥケ被告や元サービス部のペドロ・バルスコ被告、元サービス部のパウロ・ロベルト・コスタ被告への贈賄を行っていたとされている。
 ファリア被告は15年6月19日にマルセロ・オデブレヒト被告やロジェリオ・ファリアス被告と共に、ペトロブラスとの契約で3億8100万米ドルの贈賄を行った容疑で逮捕された。
 連邦検察庁は、オデブレヒト幹部らはペトロブラス関連の八つの事業契約で1億3700万レアル分の贈賄を行ったとしており、マルセロ・オデブレヒト被告には、贈賄や資金洗浄などで100年を超える刑が言い渡されると見ている。