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発泡酒の消費16%増加=国産メーカーの期待膨らむ

 ブラジル経済がここ25年間で最悪の不況で喘ぐ中、発泡酒の消費は順調に伸びており、国産のメーカーの期待が膨らんでいる。
 シャンパンなどのスパークリングワインや、果実や果汁を使ったフルーツビールの類は、クリスマスや新年、その他の祝い事の席には欠かせない。発泡酒は、栓を飛ばして景気の良い音を楽しむだけではなく、家族や友人と優雅な一時を過ごすのにももってこいの飲み物だ。
 同じブドウを使っていても、ワインはアルゼンチンやチリの製品にお株を奪われ、国内メーカーのシェアが2割程度に止まっているのに対し、発泡酒は国産品が国内消費の8割を占める。
 2015年1月~11月のワインの販売は前年同期比4%増に止まったが、国産発泡酒の売上は前年同期比で16・5%伸びている。国内のメーカー各社は、ドル高レアル安で国産の発泡酒販売はさらに伸びると踏んでおり、ミオロやカーザ・ヴァウドゥガといった中小規模のメーカーも、国内消費の一層の拡大に期待している。
 年商1億5千万レアルのミオロは、15年1~11月に22・6%販売が伸びた甘口の発泡酒製造のため、バイア州ジュアゼイロ市に新しい工場を開設した。同社社長のダニロ・カヴァグニ氏は工場新設の理由を、「南大河州で甘口の発泡酒が作れるのは年1度だが、北東伯なら年間を通じて生産が可能だ」と説明している。
 国産の発泡酒メーカーは、国際的なコンクールに出展してタイトルを取る、卒業式や結婚式などのイベントに焦点をあてたマーケティング活動、ブドウ園や工場への観光客誘致など、各社各様の販売戦略を展開中だ。
 コンクール出展や観光客誘致、インターネットでの販売開始などで販売増を図ったカーザ・ヴァウドゥガは、15年に前年比20%増となる200万本を売り上げた。
 販売戦略の差は販売網の差にもなる。カーザ・ヴァウドゥガはレストランやバール、ワインの専門店などが主力だが、ミオロやペリニは大型小売店に力を入れている。また、購買者の所得に合わせた銘柄を開発、販売するなどのきめ細かい戦略もとられている。
 15年の好調が16年も続く事は国内メーカー共通の願いだが、そのためには国民1人当たりの消費量の拡大も課題だ。
 現在の国民1人当たりの発泡酒消費量は年間で2リットル程度で、チリの16リットルやアルゼンチンの27リットル、ウルグアイの30リットルなどの足元にも及ばない。季節的な消費量のばらつきは改善されてきたが、それでも11、12月の販売は全体の40%を占め、大晦日から新年にかけての消費量は群を抜いているという。(9日付エスタード紙より)