この夏はエルニーニョの勢力が強く、南東伯では例年以上に暑い。エルニーニョは地球温暖化を反映したものだが、地球温暖化といえば思い出すものの一つにアマゾンの森林伐採がある▼ブラジルを中心に広がるアマゾンの密林は、温室効果ガスと呼ばれる二酸化炭素(CO2)を吸収して酸素を排出してくれる。その吸収量が他の森林より格段に多いとされた時期は、「地球の肺」とも呼ばれた▼その肺の機能を維持するために大切なのが、森林の代謝だ。地球温暖化の観点から行くと、森林伐採を抑制するとCO2吸収量の減少を防ぐから、「伐採量減少=温室効果ガス排出量削減」という図式も成り立つ▼だが、この考え方には落とし穴がある。かつて家庭教師をしていた時見た教科書に、森林も年をとるとCO2の吸収量が落ちると書かれていたのだ。それを裏付けるように、4日付フォーリャ紙に、伐採後に自力再生した森はCO2吸収量が11倍になるという記事が出ていた▼再生中の森林には日照時間が長くても育つ背の低い樹木が成長し、日影を好む樹木はその後に育つ。いずれの木も成長しようと盛んに光合成を行うから、CO2の吸収量は成長が鈍った老木より多くなる。だから、成熟した木だけの森林よりも再生林の方が地球温暖化防止には役立つのだ。CO2吸収量は森林の成長度で変わるから、むやみな伐採はタブーだが、自然再生を促す位の持続可能な範囲の伐採は推奨した方が良い事になる▼CO2の吸収量が最大になるのは伐採から20年以上、70年を過ぎてもそのままの森は老齢化でCO2吸収量が減るとの説に、いつまでも成長し続ける存在でありたいと思わされた。(み)