23、24日の日程でブラジルを訪れた、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は24日、ジカ熱感染やそれが原因と見られる小頭症児の増加は「改善に向かう前に、今以上に悪化するだろう」と語ったと25日付伯字各紙が報じた。
同事務長はリオ市のオズワルド・クルス研究院(Fiocruz)を訪れた際、「(今はペルナンブッコ(PB)州など北東伯に集中している)小頭症が他の州で増加しても、決して驚きではない」と発言した。
チャン事務局長はブラジル滞在中、ジウマ大統領と面会し、PB州も訪問した。同事務局長はリオで「ジカ熱と小頭症には関連性がないと証明されるまでは、ジカ熱が小頭症増加の原因と考えざるを得ない」と語った。医学関係者からは未だに、ジカ熱と小頭症の関係について懐疑的な声も挙がっているからだ。WHOは既に、6月に結果が出るとされている、ジカ熱と小頭症の関連性についての研究の成果を待っているとも発表した。
WHOは今月、ジカ熱の拡大を懸念して「国際公衆衛生緊急事態宣言」を出している。チャン事務局長は、ブラジル政府が進めている、ジカウィルスを媒介するネッタイシマカ(A蚊・学名より)抑制対策と、国を挙げてのワクチン開発への取り組みに満足感を示したが、「政府だけではこの取り組みは成功しない」と、ブラジル民に対してもA蚊抑制への協力を求めた。
「1950年代から、60年代にかけて、ブラジルはA蚊の根絶に成功している。同じ事がもう一度できないはずがない。簡単な事ではないが、ブラジルがここで範を示せば、他の南米諸国も追随する」と同事務局長は語った。
小頭症のリスクと関連し、WHOは、妊娠を避けるべきか否か、市民に対して何らかの働きかけを行うかと訊かれたチャン事務局長は、妊娠を避けるか否かは個人で決めるべき問題だが、政府は国民がより前向きな判断が出来るよう、正確かつ充分な情報を提供するべきだと答えた。
なお、隣国コロンビアでは24日、ジカ熱に感染した18歳の妊婦が、胎児に小頭症の疑いがあると分かって堕胎したことが明らかにされた。コロンビアはラ米諸国の中で、ブラジルに続いてジカ熱発生件数が多い国だ。患者の中には妊婦が6356人含まれている。