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会議所シンポ 景気回復はいつ?=今年が底か、出口はどこに=(上)=18年V字回復との説も

 ブラジル日本商工会議所の総務委員会(樹神〈こだま〉幸夫委員長)と企画戦略委員会(大久保敦委員長)が企画した「2016年上期の業種別部会長シンポジウム」が2月25日午後、インターコンチネンタルホテルで開催され、約200人が出席した。「景気低迷期だから見えてくるビジネス機会~経済回復期はいつか? 日系企業はどう備えるか?」という深刻な副題に対し、11部会ごとに検討した結果を寄せた。

 開会挨拶で村田俊典〈としふみ〉会頭は「19年間ブラジル勤務しているが、出口が見えないという意味で、今回が一番厳しい。当シンポ40年間の蓄積から見える各部会の英知には、多くの示唆がある。何かを掴んでほしい」と期待した。
 原敬一金融部会長は今年の展望として①伯中銀短観予測値(2月5日時点)、②金融部会予測値をこう発表した。【GDP成長率(前年比%)】①▼(マイナス)3・2%、②▼2・5~4%【インフレ率】①7・56%、②6・50~9・00%【年末為替レート(レアル/ドル)】①4・4レ、②4・0~4・5レ【年末政策金利】①14・25%、②13・25~15・25%。
 「いつ好転するか?」との問いに、2017年説と18年説を挙げ、後者に関し《同年10月の大統領選挙を控え、政権交代期待が高まり、経営者・消費者・投資家マインドが好転し、前年までの低い経済情勢対比でV字回復するのでは》との理由を説明した。
 渡辺健司機械金属部会長はシンポ副題自体の変遷を、14年上期「どうしたブラジル経済」という期待感とのズレから始まり、同下期「ビジネス環境改善に向け、いま為すべきこと」、15年上期「再生目指すブラジル経済」、同下期「必ず復活! ブラジル経済」、今回「定期低迷期だから~」と概観し、「だんだん暗くなっている」と分析した。
 昨年初め2・6レから4レまで通貨下落し、金利政策が高止まりして資金調達コストが増大する中で、業界が全体的に落ち込む中、農業・医療・航空機・再生エネルギーのみが好調分野。《V字回復は困難、日本企業の資金力・技術力・ネットワークを活用して2~3年は我慢して乗り切る》との心構えが提起された。
 中村博化学部会長はアンケートを55加盟社(者)に実施して、27社からの回答を分析した結果、16年の展望に関し《前年よりやや前向き(底打ち)》との傾向を発表した。中でも消費財4社は《16年は売上・利益ともに改善を見込む》というもの。消費財とは主に化粧品・医療品・ヘルスケア関係。また感染症(ジカ熱等)の流行対策からボウフラ駆除薬などの販売が伸びている化学企業もある。
 アンケートにあったコメント《複雑で高い税金は製品競争力を削いでいる。給料を下げられないルールは労働者にとっても良くない(人件費削減は首きりになる)。労働党政権があと3年続く限りにおいて経済もこのまま停滞。17~18年で底を打つ。それまでじっと耐えること》《厳しすぎて、もう瀬戸際です》との悲鳴のような声も紹介された。(つづく)