ジカ熱と小頭症の関係が最初に指摘されたペルナンブコ州で2日、オズワルド・クルス研究所の研究者達が、普通の蚊もジカウイルス(ZIKV)を媒介する可能性を示唆する研究結果を発表したと2、3日付伯字紙やサイトが報じた。
コンスタンシア・アイレス研究員によると、昨年12月から2月に同研究所内で育てたアカイエカ(Culex)にジカ熱に感染した患者の血を与えてウイルス感染の有無を調べる実験を行ったところ、アカイエカの唾液腺などからZIKVが検出されたという。
実際にジカ熱患者がいる地域のアカイエカもウイルスに感染しているかは追跡調査が必要だが、少なくとも、ネッタイシマカ以外の蚊もZIKVを媒介する可能性がある事が明らかになった。
アカイエカがZIKVを媒介する可能性は、07年にジカ熱が流行したフランス領ミクロネシアでは、ブラジルでデング熱やチクングニア熱、ジカ熱を媒介するといわれているネッタイシマカが少ない事などから既に指摘されていたが、実験で確認されたのは初めてだ。
アカイエカはネッタイシマカと違い、下水などの汚れた水でも繁殖し、世界中どこにでもいる。ブラジルの場合、市街地ではネッタイシマカの20倍はいるとされており、上下水道も含めた基礎衛生部門の管理や整備が急務となる。
アカイエカもZIKVに感染し、ジカ熱を媒介しうる事は、3日にワシントンで開かれた汎米保健機構の会議でも報告された。同会議では、米州大陸ではジカ熱感染が疑われる人が13万4千人おり、2765人が確認済みである事と、患者の8割は自覚症状がなく、診断も困難なため、実態をとらえきれていない事も報告された。
なお、リオ連邦大学とD,Or研究所の研究員はZIKVが神経細胞を攻撃し、成長を妨げる様子を観察。ZIKVが小頭症やギラン・バレー症候群を引き起こしうる事を示す例がまた増えた。