景気後退が長引く中、中銀の予想に反し、インフレ進行のペースは弱まる兆しが見えていない。しかしながら、一般消費者の購買力低下が、価格上昇のペースを下げ始めていると10日付フォーリャ紙が報じた。
今年のブラジルの小売売上は昨年より勢いが弱く、1月の小売売上高は昨年同月比マイナス10・3%だった、ブラジル地理統計院(IBGE)によると、この下げ幅は統計が始まった01年以来、最大だった。1月の小売売上を15年12月と比べた場合でもマイナス1・5%だった。
2月に入ってからインフレが弱まった事は、外食、歯科を含む医療費、航空運賃、清掃用品、モーテル、ホテル代などの項目から窺われた。
IBGEのエウリーナ・ヌーネス・ドス・サントス調査員は「おそらく2月は、初めてインフレ弱まり傾向が目に見えるかたちで現れた月だろう。ただ、まだ全ての品目で起きているわけでもない。品目によってはレアル安や税金などがインフレ促進にさえ働いている」と語った。
インフレ率減少に大きく寄与したのは航空運賃だ。需要が減った事で航空各社が競い合うようにプロモーションをかけたため、2月の航空運賃は15・83%下がった。
また、保育園から大学院に至るまでの私立の教育機関の月謝は、払いきれなくて公立校に移る例が急増した事などで、インフレ率以下の7・5%の調整に止まった。
しかしながら、これらの要因も全体のインフレを止めるには至っていない。食品の上昇が収まった事もあり、2月のインフレ上昇率(IPCA)は0・9%で、前月の1・27%や前年同月の1・22%より低下したが、それでも、2月としては04年以降で2番目の高さだった。
値上がり品目も多岐にわたっており、調査品目の77・5%が値上がりした。過去12カ月の価格上昇率が2桁の品目も10・36%あった。
「不況の影響で所得が伸び悩み、失業率が増えても、インフレは即座には止まらないが、失業率は11・6%に達する見込みで、消費者の購買力が伸び悩むため、インフレも今後2年間で少しずつ収まっていくだろう」と語る経済学者もいる。
3月は電力料金の追徴金の指標が赤旗から黄色旗に変わり、一層のインフレ抑制が見込まれる。